皇嗣秋篠宮さま、眞子さまの結婚を苦渋の容認:小室圭さんには見える形の対応を促す

社会 皇室

皇嗣秋篠宮さまは55歳になった2020年11月、令和皇室の課題になっている長女、眞子さま(29)と小室圭さん(29)の結婚を「認める」と述べられた。婚約延期から3年近くを経て、眞子さまが「生きていくために必要な選択」とお気持ちを明らかにした結婚は、実現に向けて前進する。だが、「多くの人が納得し喜んでくれている状況ではない」と秋篠宮さまは改めて語った。国民の理解を得るため、小室さんが「見える形の対応」を取るかが焦点となってきた。

皇嗣家が逆風にさらされている

令和2年(2020年)の秋、皇室のニュースは秋篠宮家の話題に集中した。秋篠宮さまが皇位継承順位1位の皇嗣となったこと、つまり次の天皇となることを国内外に知らせる「立皇嗣の礼」が行われ、また、眞子さまの結婚について秋篠宮妃紀子さま、眞子さまご本人、秋篠宮さまが相次いでお気持ちを述べたからだ。

ネット上では、ご結婚問題の秋篠宮家に対する非難が長い間続いており、今回の秋篠宮さまの決断にも批判の意見が散見される。宮内庁関係者も、「こんなに激しい表現で皇族方に非難が集中したことは、これまでなかった。せっかく令和の皇室が順調に歩み始めたと思っていたが、皇嗣家のご結婚問題がこんなに大きくなるとは…。皇太子家と同格の秋篠宮家が逆風にさらされている」とこの異常事態を嘆く。

400万円の借金トラブル

経緯を振り返る。

国際基督教大学の同級生だった眞子さまと小室さんは、5年ほどの交際を経て、2017年9月、婚約が内定。喜びの記者会見の後、小室さんの家族の約400万円の借金トラブルが報じられ、翌18年2月、納采の儀(結納)をはじめ婚儀が、一連の皇位継承儀式が終了する20年に延期されることになった。

小室さんは婚儀延期が発表された半年後の18年8月、国際弁護士を目指し、3年間の予定で米ニューヨークのロースクールに留学。現地では「プリンセスのフィアンセ」と言われたこともある。小室さんが翌19年1月、金銭トラブルについて、弁護士を通じて文書を発表した。

「母と元婚約者は2010年に婚約したが、2年後に元婚約者から婚約解消の申し入れがあった。突然だったが、母は受け入れ、婚約中に受けた支援を清算したいと伝えたところ、『返してもらうつもりはなかった』という説明があり、支援や慰謝料の点を含め金銭的な問題はすべて解決済みであることを二人は確認した。ところが、1年後に母は元婚約者から、交際期間に負担した費用の返済を求められた。母も私も元婚約者からの支援は解決済みと理解している」(要旨)

“支援金”の返済はしないという小室家の主張に、国民が眞子さまとの婚約に首をかしげるようになった。さらに、眞子さまが結婚する際、「一時金」として国から約1億5000万円が支給されることもあり、多くの国民がこの問題に関心を持つようになった。

秋篠宮さまは18年11月の記者会見で「多くの人が納得し喜んでくれる状況にならなければ、納采の儀を行うことはできない」と述べた。一方、眞子さまは小室さんとオンライン通話で連絡を取り続け、秋篠宮家は「家族として非常に難しい状況」(同記者会見での紀子さまの発言)に陥った。

紀子さま「長女の気持ちをできる限り尊重」

「新型コロナ」の影響で延期された、皇位継承儀式の最後となる「立皇嗣の礼」が終了したことで、秋篠宮家の動向が注目されていた。

先触れは9月、紀子さまの誕生日に際しての宮内記者会への文書回答だった。

「長女の結婚については、対話を重ねながら親として娘の気持ちを受け止め、一緒に考えていくことが大切だと考えています。長女の気持ちをできる限り尊重したいと思っております」

秋篠宮ご夫妻が眞子さまのお気持ちを尊重して、結婚を認めるようになったのではないかという観測が高まってきた。

11月に入り、8日に皇居・宮殿で「立皇嗣の礼」が行われた。この儀式は、秋篠宮さまが次の天皇になり、その次は長男の悠仁さまが天皇となることを意味する大事な儀式だった。その時が来れば、眞子さまは天皇のご長女、そして天皇の姉となるのだ。

立皇嗣宣明の儀に臨まれる秋篠宮ご夫妻=2020年11月8日、皇居・宮殿「松の間」[代表撮影](時事)
立皇嗣宣明の儀に臨まれる秋篠宮ご夫妻=2020年11月8日、皇居・宮殿「松の間」[代表撮影](時事)

眞子さま「結婚は生きていくために必要な選択」

その眞子さまが立皇嗣の礼が終わって間もない11月13日、凍結されていた結婚に関する「お気持ち」を文書にして公表した。

「様々な理由からこの結婚について否定的に考えている方がいらっしゃることも承知しております。しかし、私たちにとってはお互いこそが幸せな時も不幸せな時も寄り添い合えるかけがえのない存在であり、結婚は私たちにとって自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択です」

女性皇族が、好きな人と添い遂げたい気持ちをこれだけ強く、また「生きていくために必要」と悲しい言葉で、国民に訴えたのは初めてだろう。

眞子さまは文書の中で、「この文章を公表するに当たり、天皇皇后両陛下と上皇上皇后両陛下にご報告を申し上げました。天皇皇后両陛下と上皇上皇后両陛下が私の気持ちを尊重して静かにお見守りくださっていることに、深く感謝申し上げております」と述べている。

筆者が眞子さまの文書を読んで気になったのは、小室家の金銭トラブルについて具体的に触れていなかったことだ。もし、「この金銭トラブルを小室家が解決するまでは、結婚しません」とか「このトラブル解決のためには、私の方からお金を出すことはありません」といった趣旨の記載があれば、国民の理解は進んだのではないかと思う。

秋篠宮さま「多くの人が納得し喜んでいる状況ではない」

秋篠宮さまは11月30日の誕生日を前にして行われた記者会見で、「(二人が)結婚することを認める。憲法にも『結婚は両性の合意のみに基づいて』とあり、本人たちが本当にそういう気持ちであれば、親としてはそれを尊重するべきものだと考えている」と述べられた。

しかし、二人の結婚について、「決して多くの人が納得し喜んでくれている状況ではない。娘も恐らく同じ気持ちを持っている」と国民に祝福される段階に至ってないことを指摘した。そして、多くの人に納得してもらうために、小室家が国民に「見える形」で対応するよう促した。秋篠宮家は、結婚を認めるから、その前に早く金銭トラブルを解決してほしいと求めたのだ。

秋篠宮ご一家=2020年11月、東京・赤坂御用地(宮内庁ホームページから)
秋篠宮ご一家=2020年11月、東京・赤坂御用地(宮内庁ホームページから)

「(二人が)結婚する段階になったら、今までの経緯をきちんと話すことは大事だ」とも語り、二人が国民の理解を真摯(しんし)に求めるよう指示された。

秋篠宮さまの結婚容認の会見を聞いて、筆者は皇室記者だった1989年夏の「礼宮さまご婚約」のニュースを思い出す。昭和天皇が亡くなられてから7か月後、皇室が1年間の喪に服していたさなかの慶事だった。しかも、兄の皇太子さま(現天皇陛下)はまだ独身。宮内庁は、喪中に挙式はふさわしくないが、婚約内定なら差し支えないと判断し、礼宮さま(現秋篠宮さま)が2年間の英国留学を終えて帰国する翌年にご結婚となった。

今回、眞子さまたちの結婚は認めると苦渋の決断をしたのは、お子さまたちの意思を尊重して育ててきた秋篠宮さまらしいといえよう。

重くなる小室さんの自覚と責任

今後は小室さんがどんな対応を取っていくかが焦点になる。この結婚問題を前進させるために、小室さんの自覚と責任が極めて重くなるのは間違いない。この結婚に反対する人が大勢いるからだ。

小室さんは3年前の婚約内定記者会見で、こんなことを語った。

「内親王さまをお迎えすることは非常に責任が重いことと思い、真摯に受けとめております。これからも私なりにできる限りのことをしてまいりたく存じます」

「将来を考えた交際を私の家族に報告しましたら、『とても恐れ多いことですが、あなたがそのように決めたのならば,宮様にお幸せになっていただけるよう努めるように』と申しておりました」

「好きな言葉は、LET IT BE」とも話した。在るがままに、自然の成り行きに任せる、構わないで、などの意味があるが、今回の事態には、どうもふさわしくない。小室さんには前述した自分の記者会見での発言を思い返し、眞子さまが幸せになっていただけるよう、できる限りの努力をしてほしい。

バナー写真:婚約が内定し、記者会見される秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さん=2017年9月3日、東京都港区の赤坂東邸[代表撮影](時事)

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