皇室の課題になった眞子さまの結婚問題:「女性宮家」論議にも影響
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5年の交際を経て“婚約内定”の記者会見
眞子さまのお気持ちを考えるために、これまでの出来事や発言を振り返ってみたい。国際基督教大学の同級生だった眞子さまと、小室圭さん(28)は、5年ほどの交際を経て、2017年9月、婚約が内定。天皇、皇后両陛下(現上皇ご夫妻)にあいさつした後、記者会見した。
眞子さま「小室さんは、私を温かく励ましてくださる存在でございます。最初にひかれたのは、太陽のような明るい笑顔であったと思います。ご自分の考えと強い意志を持ちながら努力されるお姿、また、物事に心広く対応される姿にひかれました」
小室さん「宮さまは私のことを月のように静かに見守ってくださる存在でございます。とても愛情深く、確たる信念をお持ちのところに強くひかれました」
眞子さま「幼い頃より、結婚をする時は皇族の立場を離れる時である、という意識を持って過ごしてきました。その中で、天皇陛下をお助けし、自分なりにできる限り、皇族としての仕事を大切に果たそうと努めるとともに、私自身の生活も大事にしてまいりました。両親も私の考えを尊重しながらも、助言をし、見守ってくれました。小室さんとともに、温かく居心地がよく笑顔あふれる家庭を作ることができれば、うれしく思います」
小室さん「内親王さまをお迎えすることは非常に責任が重いことと思い、真摯(しんし)に受けとめております。宮さまは、それらのことを感じさせない配慮を常に私にしてくださり、今日までとても自然な気持ちで過ごすことができました。いつも自然体で、和やかな家庭を築いていきたいと思います」
2年間の婚儀延期
この時が、二方の幸せの絶頂期だったかもしれない。2017年11月には結婚関係の日程なども発表されたが、間もなく小室さんの家族の400万円余りの借金トラブルが報じられた。翌18年2月、眞子さまの納采の儀(結納)をはじめとする婚儀の延期が、宮内庁から発表された。一連の皇位継承儀式が終了した翌々年(20年)になる見込みとされた。
二方の気持ち「(私たちは)いろいろなことに急ぎすぎていたのだと思います。十分な時間をとって必要な準備を行うのが適切であるとの判断に至りました。両陛下は(婚儀を延期する)私たち二人の気持ちを尊重してくださいました。私たちは、この度の延期を新たな生活を始めるための時間を作る良い機会と考え、その時間を大切に、結婚までの期間を過ごしてまいりたいと思います」(18年2月の宮内庁発表)
「それ相応の対応を」
2018年8月、小室さんは家族の借金問題が解決しないまま、米国での弁護士資格取得を目指し、3年間の留学に旅立つ。ネット社会なので、眞子さまとはよく連絡し合っているという。
その3カ月後の同年11月、秋篠宮ご夫妻が記者会見された。
秋篠宮さま「小室さんに関わることが毎週のように週刊誌等で報道されていることは、承知しております。小室さんからの連絡は、2、3カ月に一度くらい、時々もらうことがあります。私は、二人が今でも結婚したいという気持ちがあるのであれば,それ相応の対応をするべきだと思います。まだ婚約前なので,人の家のことについて私が何か言うのははばかられますが、それ相応の対応というのは大事です。やはり多くの人が納得し喜んでくれる状況にならなければ、私たちは納采の儀を行うことはできません」
秋篠宮妃紀子さま「家族として非常に難しい状況の中にありますが、私は長女の眞子がいとおしく、かけがえのない存在として感じられます。これからも長女への思いは変わることなく、大切に見守りたいと思っております」
裏目に出た小室さんの「解決済み」文書
この2カ月後の2019年1月、小室さんが弁護士を通じて文書を発表する。
「母と元婚約者は2010年に婚約したが、2年後に元婚約者から婚約解消の申し入れがあった。突然だったが、母は受け入れ、婚約中に受けた支援を清算したいと伝えたところ、『返してもらうつもりはなかった』という説明があり、支援や慰謝料の点を含めて金銭的な問題はすべて解決済みであることを二人は確認した。ところが、1年後(13年)に母は元婚約者から、交際期間に負担していた費用の返済を求める手紙を受け取った。多くの報道で借金トラブルが残っているとされているが、母も私も元婚約者からの支援については解決済みと理解しており、報道に困惑した。私も母も元婚約者からご支援を受けたことは感謝しており、今後は元婚約者からご理解を得ることができるよう努めたいと考えている」(要旨)
解決済みで、“支援金”の返済はしないという小室家の主張に納得する人は多くない。さらに多くの国民が、眞子さまとの婚約に首をかしげるようになってしまった。なぜこの機会に“支援金”を返済し、事態を打開できなかったのか。「払え、払わないを決める訴訟ごとではなく、誠意の問題だ」などの声が聞こえた。
佳子さまの姉思いのお気持ちにも批判が
この後、秋篠宮家の次女、佳子さまが2019年3月、大学卒業に際しての書面回答が話題を呼ぶことになる。
佳子さま「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」
姉思いの率直なお気持ちは、「皇族としての自覚が足りない」などと批判されることもあった。
接触がなくなった秋篠宮さまと小室さん
大きな動きがない中、秋篠宮さまは2019年11月、54歳の誕生日に先立つ記者会見で、婚儀延期から2年がたつ20年2月に何らかの発表があることを言及された。
秋篠宮さま「結婚の見通しについては、私が昨年お話ししたことと変わっておりません。ただ、この次の2月で2年たつわけで、何らかのことは発表する必要があると思っております。長女と結婚については話をする機会はありません。小室家との連絡は、私は取っておりません」
前年との大きな違いは、秋篠宮さまと小室さんとの接触がなくなってしまったことである。秋篠宮さまも1月の小室さんの「借金トラブルは解決済み」という対応に納得できなかったようだ。
上皇ご夫妻も初孫の眞子さまを心配
女性皇族が結婚して民間人となる場合、1億円を超える「結婚一時金」が支給されることもあって、この結婚問題に関心を持つ人は多く、一向に報道は静まらないのが実情だ。
好転の兆しがない眞子さまの結婚問題をとても心配されているのは、上皇ご夫妻だ。86歳になられた上皇さまにとって、眞子さまは初孫だっただけに、平成の末期に起きた“騒動”は、さぞおつらかったことと察する。高齢のご夫妻の健康にも障りになったと伝える報道もあった。
さらに、この結婚問題が、皇族の減少の中で検討されている「女性宮家」の論議の行方にも影響を与えている。2020年には国会で、皇位の安定継承のため、「女性天皇・女系天皇」と、女性皇族が結婚後も皇室に残り、公務などを行う「女性宮家」についての審議が始まる見込みだ。
女性宮家は、平成の天皇の孫、つまり眞子さまらを想定して考えられたものだった。天皇をお助けし、皇族の活動が減らないようにするための案で、現行制度のまま弟の悠仁さまが将来、皇位を継いだ時、かなり皇族が少なくなる中でも、姉宮が悠仁さまを支えることができるようにとの思いが込められている。
これからの審議で、女性宮家の当主の配偶者(夫)や子どもに皇族の身分を与えるかなども検討される。今回の騒動により、女性宮家に対する感情的な反対論が出てくることや、国民の考えが賛否両論に二分することも否定できない。
眞子さまの結婚のことは、ご自分の人生を選択する二方、そして秋篠宮家が決めることである。ご本人にとって大事な決断であり、順調に歩み出した「令和の皇室」にとっても重大な決断になる。2年間凍結をさらに延長することなく、速やかに事態が収まることを国民は望んでいる。
バナー写真:天皇陛下の即位を祝う「饗宴(きょうえん)の儀」のため、半蔵門から皇居に入られる秋篠宮家の長女眞子さま=2019年10月22日、東京都千代田区(時事)