皇后雅子さまの頑張りに国民が声援:即位パレード中に起きた回復を裏付ける光景

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即位関連の中心行事が終了した。この7カ月間、体調が心配された皇后さまはすべてに臨席され、その頑張りには目を見張るものがある。11月10日の「祝賀御列(おんれつ)の儀」では、パレード中に皇后さまが一瞬、体を後ろに傾けることもあったが、天皇陛下のお声掛けですぐ元に戻り、多くの国民から祝福を受けられた。陛下に支えられ、皇后さまが順調に回復されていることを裏付ける光景だった。

パレードの中間で起きた皇后さまの傾き

祝賀御列の儀の前夜、皇居前広場で開かれた即位を祝う「国民祭典」。両陛下は二重橋の2本ある橋のうち、初めて広場に近い石橋に立たれ、祭典をご覧になった。より国民に近い方に立ちたいという両陛下のお気持ちが感じられた。少し離れた所で、ご長女の愛子さまもご覧になっていた。注目されたのは、皇后さまの涙を拭われる姿だった。

そして、国の儀式(国事行為)として行われた祝賀パレードの日。沿道の約12万人からの祝意を受け、皇后さまはまた何度も涙を拭かれた。お世継ぎ問題の重圧や、2004年に「適応障害」と発表されてからの長い療養生活に耐えて、多くの国民から祝福を受けられる今日を迎えた感激からか。あるいは支えてくれた人々への感謝の思いからか。「皇后さまの涙」はとても印象的だった。

天皇陛下の即位を祝う「国民祭典」に出席された天皇、皇后両陛下。雅子さまは人気アイドルグループ「嵐」らが奉祝曲「Ray of Water」を披露した直後、涙を拭われた=2019年11月9日、皇居[代表撮影](時事)
天皇陛下の即位を祝う「国民祭典」に出席された天皇、皇后両陛下。雅子さまは人気アイドルグループ「嵐」らが奉祝曲「Ray of Water」を披露した直後、涙を拭われた=2019年11月9日、皇居[代表撮影](時事)

この30分間のパレードの中で、皇后さまのご健康を見守るのに、重要な出来事があった。車列が皇居を出発すると、国会前などで皇后さまは目元を押さえ、平河町を通過。首都高速道路の高架下に入り、沿道の人が見えなくなった所で、改めて流れ出る涙をそっと拭かれた。そのすぐ後の午後3時17分ごろ、パレードのほぼ中間の赤坂見附陸橋を渡っていた時である。

お車(オープンカー)からお手振りをしていた皇后さまの体が突然、右斜め後ろに大きく傾いた。皇后さまは8秒ほど間をおいて、また笑顔に戻り、お手振りを再開された。お車は間もなく陸橋を渡り切り、青山通りの長い一直線に入る。沿道に詰めかけた多くの人々から「雅子さまー」の声援が飛び、両陛下はお手振りを続けて赤坂御所に向かわれた。

専門医が指摘する皇后さまの回復

この様子(映像)を専門医に見てもらった。「長い赤坂見附陸橋は、沿道から離れて両サイドに誰もいない地点だったので、皇后さまの緊張がふと解けたのでしょう。前夜のお出ましもあり、お疲れで一瞬、ウトっとされたのかも。医師として注目するのは、その後の皇后さまがすぐにまたお手振りを再開されていることです。相当な使命感を持っていないと、こんなにすぐに戻れません。ご自分のお務めにすぐに復帰されたご様子から、かなり回復されていると言ってよいでしょう」と話す。

また、別の専門医はこう語る。「皇后さまの体が揺らぐと、気付かれた天皇陛下が優しく皇后さまに声を掛けているようです。皇后さまはそれに反応されて、すぐ元に戻ることができたのでしょう。ご結婚前に『雅子さんを一生守る』とおっしゃった陛下が、ここでもきちんと約束を守られているご様子を拝見して、私(専門医)は涙が出てきました。雅子さまがここまで回復され、皇后としてのお仕事をきちんとされているのは、天皇陛下の並々ならぬサポートがあったからだと思います」

パレードの成功は、ご夫妻の熱い絆のおかげでもあったのである。両陛下はこの日、多くの国民からの祝福を受けた感動を胸に、長い「令和のお務め」を果たしていかれる。

慎むべき「平成」との比較

皇后さまがお元気になったからといって、両陛下に何でもお願いするのは慎むべきだ。こんなことがあった。国体開会式の出席などのため、9月末に「お召し列車」(特別列車)で茨城県に行かれた際、車両の一部にカーテンが下げられており、両陛下のお姿が見えなかったという不満の声がネットに載った。

両陛下が食事などのため、一時、カーテンを下げたのだが、平成の時は両陛下(上皇ご夫妻)がお召列車のほぼ全行程で、沿線の人たちにお手振りしていたことと比較されたようだ。令和初のお召し列車は約1時間半だったが、何でも“平成流”にと90分間、お手振りをお願いするのは無理がある。両陛下が体調に合わせ、お休みをとられるのは当然のことではないか。

第74回国民体育大会出席などのため、お召し列車で茨城県に出発される天皇、皇后両陛下=2019年9月28日、JR東京駅[代表撮影](時事)
第74回国民体育大会出席などのため、お召し列車で茨城県に出発される天皇、皇后両陛下=2019年9月28日、JR東京駅[代表撮影](時事)

皇后さまのご健康を担当している東宮職医師団(当時)は昨年12月のお誕生日に際して、こんな見解を発表している。「依然としてご快復の途上で、体調には波がおありです。大きい行事の後や行事が続くと疲れが残り、体調が優れないこともある。過剰な期待を持たれることは、逆効果となることをご理解いただきたい」「特に来年(2019年のこと)は重要な一連の行事もあり忙しくなるので、ご無理をされず、これまで同様、治療を続けていくことが大切」と、国民に温かく見守ってほしいと呼びかけている。全快宣言は「まだ早い」と診ているのだ。

即位の礼や大嘗祭など一連の即位の儀式を終えたことを天皇、皇后両陛下が報告する「親謁の儀」で、伊勢神宮内宮の参拝を終えられた雅子さま=2019年10月23日、三重県伊勢市[代表撮影](時事)
即位の礼や大嘗祭など一連の即位の儀式を終えたことを天皇、皇后両陛下が報告する「親謁の儀」で、伊勢神宮内宮の参拝を終えられた雅子さま=2019年11月23日、三重県伊勢市[代表撮影](時事)

国民の笑顔と声援が皇后さまの励みと支え

皇后さまは皇太子妃時代に書面でこう述べられた。「訪れた先々で、多くの方に笑顔で温かく迎えていただいたこと」(2017年)、「皆様から掛けていただいた声、国民の皆様のお気持ち」(18年)が「私の励みと支え」になっていると。皇后さまが祝賀御列の儀で30分間、懸命に沿道の人々にお手振りを続けられたのは、ご自分を励まし支えてくれる国民へのお礼の気持ちが込められていたはずだ。

筆者は昭和末期の数年間、昭和天皇の侍医団を取材したが、そのリーダーだった高木顕侍医長の言葉を思い出す。「御上(おかみ=昭和天皇)はご自分の健康のことで国民に心配を掛けたくない、と常に思われていたので、ご自分からあまり体調について話されないこともある。この点を留意して両陛下にお仕えするのが侍医の務めと心得ている」

現在の侍医団は12月9日、皇后さまの56歳のお誕生日に際して新しい見解を発表すると思われる。両陛下と国民との間をさらに縮めるためにも、より詳しい説明を期待したい。

バナー写真:即位を祝うパレード中、目元を押さえられる皇后さま=2019年11月10日、東京都千代田区の国会前(時事)

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