皇室の皆さまのお住まいは?:皇居と宮邸、御用邸、皇室関連施設
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皇居
皇居は徳川幕府の居城・江戸城があったところで、JR東京駅の西側に位置する。明治元年(1868年)に皇居となった。翌年、明治天皇が入り、皇居は正式に京都から東京に移った。
総面積は115万平方メートルあり、周りを堀で囲まれている。二重橋が臨める正門をはじめ8つの門があり、その一つである北側の乾門から南東に延びる乾門通りを境に、東西の二つの地区に分かれている。
東側地区には旧江戸城の本丸などがあり、一部を除いて皇居東御苑として公開されている。西側地区は、吹上御苑と旧西の丸からなる。ここには、天皇ご夫妻の住居である御所、各種行事を行う宮殿、宮内庁の庁舎、歴代皇后が伝統を守ってきた養蚕の作業場である紅葉山御養蚕所などがある。
御所は私邸であるものの近年、公務でも使われることも多い。これは、平成の天皇ご夫妻が東日本大震災の後、電力消費が大きいとして宮殿の使用を控えられたことによるもので、年間約200件の行事のうち要人との面会など約60件を私邸である御所で行われた。
皇居は都心にありながら、豊かな自然を残している。木の実や昆虫が豊富なことからタヌキも生息しており、平成の陛下は、そのタヌキの研究にも取り組まれたことがある。桜と紅葉の見ごろの時期に毎年行われる「皇居乾通り一般公開」も好評を博している。
代替わりに伴って、皇居には新天皇がご家族で入られる。ただし、御所は改修工事などを行うため、ご一家は皇居への転居までの間、赤坂御用地内で暮らされる。陛下は、公務のため皇居に“通勤”される。
赤坂御用地などの宮邸
赤坂御用地は、広さが皇居の約半分の51万平方メートルで、複数の皇族が暮らしている。まず西側に天皇ご一家が暮らす赤坂御所、東側に秋篠宮邸があり、それより南西に三笠宮邸や、高円宮邸といった他の宮家の住居がある。皇室の子弟が伝統的に学んできた学習院初等科も近接している。
要人を迎えるなど外交に使われる迎賓館赤坂離宮も敷地内にある。また、春と秋の年2回催される園遊会の会場も、この赤坂御用地の一角だ。
宮邸は赤坂御用地以外にも、東京都渋谷区東の常陸宮邸と、東京都港区高輪の高輪皇族邸の2カ所ある。常陸宮邸は現在も使われている。
赤坂御用地でも代替わりに伴って変化がある。まず、新天皇ご一家が出られた赤坂御所に、上皇ご夫妻が入られる。ただし、バリアフリー化などを施す改築工事のため、ご夫妻は退位後、いったん高輪皇族邸に入居される。上皇の住居を意味する「仙洞(せんとう)御所」の仮住まいなので、仙洞仮御所と呼ばれる。赤坂御所は上皇ご夫妻が正式にお住まいになられる時、「仙洞御所」となる。
皇嗣となられる秋篠宮さまは、引き続き秋篠宮邸で暮らす。ただ、支える職員が倍増するなど環境が大きく変わるため、秋篠宮邸も改築工事が行われる。
御用邸
皇室には、栃木、神奈川、静岡の3県に、静養のために使う御用邸が3カ所ある。いずれも別荘のようなもので、私的な時間を過ごす。
栃木県那須町の那須御用邸は、標高2000メートル近い那須連山の山麓に広がる高原に位置している。1926年に建てられた本館と、35年に加えられた付属邸からなる。2011年には、平成の天皇ご夫妻の計らいで、東日本大震災の被災者に風呂などを提供したほか、敷地の約半分にあたる約5.6平方キロメートルの土地が宮内庁から環境庁に移管され、「那須平成の森」が開園した。
神奈川県葉山町の葉山御用邸は、相模湾に隣接する。2009年に平成の陛下が海で孫の秋篠宮悠仁さまらを乗せた和船を漕がれたのは、この御用邸滞在時だった。大正天皇が1926年に崩御した場所でもある。建物は一度消失し、81年に再建された。静岡県下田市の須崎御用邸は、伊豆半島の東側にありプライベートビーチもある。
そのほかの皇室関連施設
皇室にはそのほかにも複数の施設がある。
京都市内にある京都御所は、皇居が東京に定められる前に歴代の天皇が居所としていた場所だ。現在の建物は、おおむね幕末の1855年に建てられたもので、昭和天皇らの即位の儀式を行った紫宸殿などがある。そばには京都大宮御所があり、御殿は1867年建造。現在も両陛下の地方訪問にあたる行幸啓の際に、宿泊所として使用されている。
栃木県高根沢町と芳賀町にまたがる御料牧場は、「皇室の牧場」だ。総面積は東京ドームの約54個分に相当する約2.5平方キロメートル。外国大使の信任状捧呈で使われる馬車列などの馬を育成している。
御料牧場では皇室用の食材も生産している。肉、卵、牛乳、野菜をはじめ、乳製品や肉加工品など多岐におよび、宮中晩さんなどのおもてなしの場面で活用されるほか、皇室の日々の食事にも利用されている。
文・益田 美樹
バナー写真:皇居。左奥に見えるのは東京スカイツリー=2019年3月8日撮影(時事)