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2024年今年の漢字は「金」: 光り輝く「キン」と読むか、闇深い「カネ」と読むかはあなた次第?

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元日に震度7の激震が能登地方を襲い、日本中が悲嘆に暮れる中で始まった2024年。新紙幣の発行、パリ五輪、大谷翔平の「50-50」達成など明るい話題もあったが、派閥の政治資金問題や相次ぐ闇バイトなど理不尽な怒りと不満が渦巻く一年でもあった。そんな今年を表す漢字は「金」。

日本漢字能力検定協会は12月12日、2024年の世相を表す漢字に「金」が選ばれたと発表した。世界文化遺産の清水寺(京都市東山区)で森清範(せいはん)貫主(かんす)が、縦1.5メートル、横1.3メートルの和紙に揮毫(きごう)した。

2024年「今年の漢字」上位10字

  1. (12148票) 金(キン・コン / かね・かな・こがね)
  2. (9772票) 災(サイ / わざわい)
  3. (7487票) 翔(ショウ / かける・とぶ)
  4. (7427票) 震(シン / ふるう・ふるえる)
  5. (6545票) 新(シン / あたらしい・あらた・にい・さら)
  6. (6071票) 選(セン / えらぶ・える・よる・すぐる)
  7. (6027票) 変(ヘン / かわる・かえる)
  8. (5674票) 暑(ショ / あつい)
  9. (4562票) 楽(ガク・ラク / たのしい・かなでる)
  10. (4335票) 米(ベイ・マイ・メ / こめ・よね・メートル)

1位の「金」は、応募総数22万1971票のうち、最多の1万2148票を集めた。選出理由として二つの見方が挙げられている。

一つは“光の”金。パリオリンピック・パラリンピックで日本人選手が数多くの金メダルを獲得、メジャー史上初「50本塁打、50盗塁」達成・3回目のMVP獲得といった大谷翔平選手の“値千金”な活躍ぶり、佐渡の金山が日本で26件目の世界遺産に登録されたことなどが、光り輝くゴールドのイメージにつながった。

もう一つは“影の”金。「カネ」と読めば、政治の裏金問題や金目当ての「闇バイト」による強盗事件、家計を圧迫する物価高騰などが想起され、ネガティブな話題にも事欠かなかった。

2位に入ったのは「災」。元日の能登半島地震や、翌日の羽田空港での飛行機衝突事故、南海トラフ地震の注意を呼び掛ける「臨時情報」の発令、被災の能登に追い打ちをかけるような記録的豪雨など、多発した災害を受けての集票となった。

3位は「翔」。大谷翔平選手の高い注目度がうかがわれる。毎朝のニュースで「オオタニサン」の活躍ぶりに勇気と元気をもらった人も多いだろう。ちなみにドジャース入団が決まった昨年、「翔」は11位2286票。大きな飛翔の年となっただけに、順位も急上昇した形だ。

「金」が選ばれたのは、2000年、12年、16年、21年に続き、今年で5回目。いずれの年もオリンピックが開催されており、政治・経済や社会問題、文化的な話題など、その時々の世相が反映されている。

「今年の漢字」は1995年から毎年、同協会が公募し、最も多く応募が集まった漢字を発表するもので、今年で30年目となる。

1995年から2024年までの「今年の漢字」

バナー写真:「今年の漢字」に選ばれた「金」を揮毫する清水寺の森清範貫主=2024年12月12日、京都市東山区(時事)

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