新語・流行語・今年の漢字

2023年の新語・流行語大賞は「アレ」: Aim!Respect!Empower! 元の意味は知らなくても、なんだか楽しい!

社会

「コロナが落ち着いて、少し明るさが見えて、選ばれたものは順当だった」(選考委員・金田一秀穂氏)。「長くかかったコロナウイルスの重石がとれて、『4年ぶり』にイベントが復活したり『声出し応援』ができたり、人と人とが集まることができるようになりましたので明るさが戻った1年だったと思います」(選考委員・大塚陽子氏) ── その明るさを象徴する「アレ」が新語・流行語大賞に選ばれた。

今年の世相を表す言葉を決める「2023年ユーキャン新語・流行語大賞」(自由国民社『現代用語の基礎知識』選)の年間大賞とトップ10が12月1日、発表された。

年間大賞、トップ10の新語・流行語

【年間大賞】アレ(A.R.E.)

2023年、阪神タイガースは日本シリーズを制し、1985年以来38年ぶり2度目の日本一となった。

今年のタイガースのチームスローガンは「A.R.E.」。“明確な目標(Aim!)に向かって、野球というスポーツや諸先輩方に敬いの気持ち(Respect!)を持って取り組み、個々がさらにパワーアップ(Empower!)することで最高の結果を残していく” の頭文字をとったものだが、そこには「アレ=優勝」への強い決意が込められていた。

ペナントレースでマジックナンバーが灯っても、「優勝」は禁句。スポーツ新聞の見出しにも「最速アレ」「明日にもアレ」と「アレ」が乱れ飛び、岡田彰布監督がベンチで食べている「パインアメ」のコラボ商品「パインアレ」まで生まれた。

選考委員で女優の室井滋さんは「お籠(こも)りの日々が明けて、どんな言葉が流行(はや)るのかとキョロキョロしていたが、今年はスポーツの力が私たちを支えてくれた。やっぱりペッパーミルにアレですよアレ!」とコメント。

2021年の「リアル二刀流 / ショータイム」、22年の「村神様」に続き、3年連続で野球関連の言葉が大賞に選ばれ、日本人の野球愛が伝わってくる。

【トップ10】

新しい学校のリーダーズ / 首振りダンス

制服姿の4人組ダンスボーカルユニット・新しい学校のリーダーズの楽曲『オトナブルー』は2020年5月に配信限定リリース。首振りダンスがTikTokで話題になり人気に火が付いたのは3年後の23年だった。

OSO18 / アーバンベア

北海道で4年間に66頭の牛を襲ったヒグマ。最初の被害地オソツベツ、足幅18センチからOSO18と名付けられた。酪農学園大学・佐藤喜和教授が21年に出版した『アーバン・ベア となりのヒグマと向き合う』が現実となっている。

蛙化現象

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生成AI

「生成AI」とは、人工知能の一種で、自動的に文章や画像、音声などを生成する技術です。大量のデータを学習し、そのデータに基づいて新しいデータを生成します。例えば、文章を書くAIは、あるテーマについての記事を学習し、その知識を元に新しい記事を書き出すことができます。(←某・生成AIに「生成AIを100文字で説明して」と指示して出てきたフレーズ。28字オーバーの128文字。なんとか100文字にまとめようと粘る能力は人間の方が優れている!)

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