2023新語・流行語大賞候補30語 : コロナは「5類」に、「アレ」で盛り上がり、「藤井八冠」に沸く
社会- English
- 日本語
- 简体字
- 繁體字
- Français
- Español
- العربية
- Русский
コロナからの解放!
3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。米国との決勝戦を前に、大谷翔平選手は、「憧れには追い付けても越えられない。(今日だけはアメリカに)憧れるのをやめましょう」とチームメートを鼓舞したという。投打の活躍だけでなく、いまや、侍ジャパンの精神的支柱でもある大谷選手の存在感の大きさよ!
WBCでは、新たな人気者も誕生。米国生まれの日系人選手ラーズ・ヌートバー外野手は好守を披露、打っては「ペッパーミル・パフォーマンス」でチームを盛り上げた。
2023年5月8日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザなど同じ「5類」に引き下げられた。各地の祭りや花火大会など「4年ぶり」に開催され、ようやく日常が戻ってきた。熱烈すぎるファンの「声出し応援」で大いに力を得て、阪神タイガースは2005年以来、18年ぶりのリーグ優勝を果たした。岡田彰布監督は、選手が意識しすぎないようにと優勝を「アレ」と表現したが、関西方面では「アレ」がはん濫しすぎて、意識せずにはいられない状態だったかも。
将棋の「藤井聡太八冠」の誕生は将棋のルールを知らない人まで巻き込み多いに盛り上がった。6月、史上最年少の20歳10カ月で名人となると同時に、羽生善治棋士以来、史上2人目の「七冠」を達成。その後、10月には王座のタイトルも獲得。前人未踏の八冠を達成した。ネットやテレビなどで将棋の対局を観戦して楽しむ「観る将」も増えた。
若き才能の活躍にエネルギーをもらう一方で、ジャニーズ事務所(現・SMILE-UP.)のジャニー喜多川元社長による長年にわたる「性加害」問題は社会に衝撃を与えた。SNSなどで高額・短期アルバイトの名目で募集され、強盗や詐欺など犯罪の実行役を一部分だけ代行する「闇バイト」が横行。気軽に応募する若者たちが犯罪に巻き込まれる特殊詐欺事件や連続強盗事件が各地で相次いだ。
Open AI社が2022年11月に公開した生成AI(人工知能)のチャットGPTなど、人口知能を業務で活用する企業も増えている。デジタル化が私たちの生活や行動様式に影響を与える一方で、自然と共存して生きていることを思い知らされるのが「アーバンベア(都市型クマ)」の存在だ。環境省のまとめで、4月から10月末時点の速報値でクマによる被害を受けた人が180人に上った。クマの食料となるドングリが不作で、市街地に出没しているらしい。
来たる年は「2024年問題」が待ち受ける。働き方改革関連法の一環でドライバーの労働時間の上限が課されることから、物流の人手不足が一段と深刻化するという。温暖化のさらに上をいく「地球沸騰化」も気になるが、悲嘆しているばかりではいけない。「安心してください、穿(は)いてますよ」でおなじみのお笑い芸人・とにかく明るい安村さんが、英国のオーディション番組に出場し「I’m wearing pants!」で再ブレークしたことには勇気づけられる。身一つで世界チャレンジする姿に、憧れるのをやめましょう!
トップ10、年間大賞は12月1日に発表される。
ノミネートされた30語は下記の通り。
ノミネート30語の100文字解説はこちら
No. | 候補語 |
---|---|
1 | I’m wearing pants!(アイム・ウェアリング・パンツ) |
2 | 憧れるのをやめましょう |
3 | 新しい学校のリーダーズ / 首振りダンス |
4 | 新しい戦前 |
5 | アレ(A.R.E.) |
6 | 頂き女子 |
7 | X(エックス) |
8 | エッフェル姉さん |
9 | NGリスト / ジャニーズ問題 |
10 | オーバーツーリズム |
11 | 推しの子 / アイドル |
12 | OSO18 / アーバンベア |
13 | 蛙化現象 |
14 | 5類 |
15 | 10円パン |
16 | スエコザサ |
17 | 性加害 |
18 | 生成AI |
19 | 地球沸騰化 |
20 | チャットGPT |
21 | 電動キックボード |
22 | 2024年問題 / ライドシェア |
23 | ひき肉です / ちょんまげ小僧 |
24 | 藤井八冠 |
25 | ペッパーミル・パフォーマンス / ラーズ・ヌートバー |
26 | 別班 / VIVANT(ヴィヴァン) |
27 | 観る将 |
28 | 闇バイト |
29 | 4年ぶり / 声出し応援 |
30 | Y2K |
ニッポンドットコム関連記事
2:憧れるのをやめましょう
- トミー・ジョン手術に潜むスポーツの危険性 ―大谷翔平の右肘は「部品」ではない
- 青少年の好きなスポーツ選手:大谷翔平が3回連続の1位―笹川スポーツ財団
- 脱「スモールベースボール」で世界一奪還──侍ジャパンがWBC優勝で示した進化と真価
- 大谷翔平を筆頭に、過去最強「ドリームチーム」で3大会ぶりVに挑むWBC日本代表
- 「侍ジャパン」が次になすべきこと―日本球界に求められる世界への貢献
12:OSO18 / アーバンベア
14:5類
- 新型コロナウイルス、インフルと同じ「5類」に移行 : 国内総感染者数3380万人、3.6人に1人感染
- 外出時、「マスクいつも着けている」4割―LINE調査 : 理由は「感染したくない」
- 千代田幕府を倒し、地方からの医療改革を:新型コロナが浮き彫りにしたニッポンの病理(対談 前編)
- 患者よりも保健所を守るために予算を投入:新型コロナが浮き彫りにしたニッポンの病理(対談 後編)
17:性加害
18:生成AI
- 生成AI悪用の動き:「倫理」から外れ、不正目的に開発されるプログラムも
- 「表現の民主化」は是か非か…クリエイターの肉声で検証する生成AIの可能性
- 生成AI「使ったことがある」男性は4割超―18歳意識調査 : 利用ルールは未整備?
- 生成AIを活用・検討している企業が6割超え―帝国データ : 「活用のイメージわかない」手探り状態も
- 映画『ザ・クリエイター/創造者』:ギャレス・エドワーズ監督が語る「日本」、AI戦争、創作の冒険
19:地球沸騰化
- 暑さ続く : 熱中症搬送者数が高水準で推移―警戒アラート参考に適切な行動を
- 観測史上、最も暑かった夏 ―気象庁 : 北海道+3.0、東北+2.9の異常事態
- 夏の高校野球「朝夕2部制」は実現可能か?―地球“沸騰”時代のスポーツのあり方を考える
- やる気がないのは(多分)暑さのせい! : 夏の働き方の理想はテレワ、現実は出社
- 地球環境戦略研究機関(IGES)・武内和彦理事長が語る自然共生の未来
20:チャットGPT
- 自治体のChat GPT利用は東高西低 : 東京、福島、栃木で正式導入
- Chat GPT「使ったことがある」は4.8%―LINEリサーチ
- 子どものChat GPT利用「不安」が5割 : 思考力低下や情報リテラシーを懸念
24:藤井八冠
- 藤井聡太八冠誕生、史上初の八大タイトル全冠制覇──歴代の棋士が打ち立てた金字塔
- 将棋界400年の歴史を塗り替える男―藤井聡太の天才性と八冠独占の可能性
- 現実もマンガも想像を軽々と突破する、知的で深遠なる将棋の世界
バナー写真:上段左から X(旧ツイッター)のロゴ(ロイター)、藤井聡太八冠(時事)、ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.社)の東山紀之社長(左)と藤島ジュリー景子前社長(右)(ロイター)、米マイクロソフト社のBing ChatおよびAIアプリ(ロイター) 下段左から 蛙化現象イメージイラスト(PIXTA)、ペッパーミル・パフォーマンスをするラーズ・ヌートバー選手(共同)、18年ぶりのリーグ優勝で胴上げされる阪神の岡田彰布監督(時事)