2022年今年の漢字は「戦」: ウクライナ侵攻が世界に影を落とす
社会 言語 文化
コロナ禍3年目の2022年、社会・経済は少しずつ日常を取り戻しつつあったが、ロシアによるウクライナ侵攻が世界に暗い影を落とした。安倍晋三元首相が銃撃され死亡する衝撃的な事件が発生し、為替は1ドル=150円を突破する急激な円安に振れるなど、穏やかとは言えない1年を象徴する漢字として選ばれたのは「戦」だった。
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日本漢字能力検定協会は12月12日、2022年の世相を表す漢字に「戦」が選ばれたと発表した。世界文化遺産の清水寺(京都市東山区)で森清範(せいはん)貫主(かんす)が、縦1.5メートル、横1.3メートルの和紙に揮毫(きごう)した。
1位の「戦」は、応募総数22万3768票のうち、最多の1万804票を集めた。ロシアによるウクライナ侵攻はコロナ禍から立ち直りかけた世界に影を落とした。戦闘地域の映像に多くの人は恐怖を覚え、戦争の終結を願わずにはいられない。北朝鮮の相次ぐミサイル発射など不穏な動きも続いている。明るい話題としては、サッカーW杯で、日本は優勝経験のある強豪のドイツとスペインを逆転勝利で破り、グループリーグを首位突破。熱戦に沸いたのは記憶に新しい。
2位に入ったのは「安」。10月20日の東京外国為替市場で、円相場が一時1ドル=150円台まで値下がりし、1990年8月以来約32年ぶりの安値を更新した。ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰に円安が重なり、庶民は生活防衛するための戦いを強いられた。7月には、奈良市で参院選の応援演説中だった安倍晋三元首相が銃撃され死亡する衝撃的な事件も起こった。
3位は「楽」。新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限が緩和され、少しずつ日常が戻ってきた2022年。旅行やレジャーなど楽しい体験も増えつつある。
「今年の漢字」は1995年から毎年、同協会が公募し、最も多く応募が集まった漢字を発表するもので、今年で28年目となる。
2022年「今年の漢字」上位10字
1位 | 戦(セン / いくさ・たたかう・おののく・そよぐ) | 10,804 票 |
2位 | 安(アン / やすい・やすんじる・いずくんぞ) | 10,616 票 |
3位 | 楽(ガク・ラク・ゴウ・ギョウ / たのしい・たのしむ・かなでる・このむ) | 7,999 票 |
4位 | 高(コウ / たかい・たか・たかまる・たかめる) | 3,779 票 |
5位 | 争(ソウ / あらそう・いさめる) | 3,661 票 |
6位 | 命(メイ・ミョウ/いのち・おおせ・みこと) | 3,512 票 |
7位 | 悲(ヒ/かなしい・かなしむ) | 3,465 票 |
8位 | 新(シン / あたらしい・あらた・にい・さら) | 3,070 票 |
9位 | 変(ヘン / かわる・かえる) | 3,026 票 |
10位 | 和(ワ・オ・カ / やわらぐ・やわらげる・なごむ・ なごやか・なぐ・あえる) |
2,751 票 |
1995年から2022年までの「今年の漢字」
2021年の漢字はこちら
バナー写真:「今年の漢字」に選ばれた「戦」を揮毫する清水寺の森清範貫主=2022年12月12日、京都市東山区(時事)