【新刊紹介】日韓の絶対的な差は言語:シンシアリー著『「高文脈文化」日本の行間 韓国人による日韓比較論』

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日本と韓国の絶対的な力の差は、言語に尽きるという。朝鮮王朝の末期ごろ(19世紀末)、国民のほとんどが読み書きでき、民の力が文化の力となって発展した日本。対して韓国は……。生粋の韓国人による日韓比較論が展開されていく。

著者は1970年代に韓国で生まれ、母から日韓併合時代に学んだ日本語を教えられた。日本のビデオや書物から、韓国で敵視している日本は存在しないことを知る。2017年に日本に移住。韓国の反日思想を皮肉ったブログや著作を発表している。

本書のタイトルになっている「高文脈文化」の言語は、実際に言葉にした内容よりも多くの情報が相手に理解されるようになっている。最も「高文脈文化」の言語は日本語。外国人が日本語を勉強すると驚くのが「どうぞ」「どうも」の万能さで、この2語さえ分かるようになれば、日本語会話はなんとかなるらしい。

「韓国社会は自民族優越主義が強く、ハングルに対するプライドもかなりなもので、世界で最も優秀な言語だと韓国人は信じている。漢字教育の復活をという声が根強いが、『ハングルがあるから漢字なんか必要ない』と自信があるので実現しない」と著者は述べる。

だが、国語(韓国語)辞典には50万語前後の言葉が載っており、その55%程度が漢字語。韓国語の語彙(ごい)の70%は漢字由来という分析もある。ある作家によると、その漢字語の半分以上は日本で作られた言葉で、韓国語から日本の影響を取り除くのは不可能だ。この作家は親日でも反日でもないが、こうした主張のせいで、「日帝残滓の精算を邪魔する悪人」と韓国の一部で叩かれている。

今も韓国で、「日本に併合されたおかげで近代化できた」とする意見はタブーとされている。併合されたのは「悪いこと」で、近代化は「良いこと」だから、これらが両立するはずはない。もし両立したら、「韓国は自力で近代化できる国ではなかった」となってしまうからだ。韓国の歴史観はこうだ。「あと少しで韓国(朝鮮)が自力で近代化できたはずなのに、日本の植民地にされたせいで、台無しになってしまった」

韓国で料理や味に「塩」の字を付けると、ひどい味を示すことになる。だから、「日本の塩ラーメン、塩ダレ、塩味を韓国語に訳すなら、直訳は避けるべき」と著者は助言する。隣国を理解するために、日本人が知らない情報が本書に詰まっている。

扶桑社
発行日:2020年6月5日
251ページ
価格:1500円(税別)
ISBN:978-4-594-08508-7

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