増える早起き小学生:朝6時までに3割が「オハヨウ」 共働き世帯の増加影響か
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<午前6時38分 起床>早朝に起きる子が大幅増
平日、小学生の平均的な起床時間は6時38分(学研教育総合研究所調べ)。成人の平均は6時32分で、子どもは大人とほぼ同じ時間に起きている。
NHK放送文化研究所の国民生活時間調査では、子どもが早起きになっている現状が浮かび上がる。午前6時に目が覚めている小学生は2020年は28.4%。1995年より18.9ポイントも増えた。6時半には61.1%(95年比22.3ポイント増)、7時は90.5%(同8.5ポイント増)が起床している。
他の調査でも、20年ほど前に比べ子どもの早起きは確認されている。親の共働きや長時間労働により家庭内での活動開始が早まっていることなどが影響していると分析されている。共働き世帯は1995年には専業主婦世帯とほぼ同数だったが、2023年には専業主婦世帯の約2.5倍にまで増えている。
<午前6時45分 朝食>手軽さ重視? 増えるパン食
朝食時間のピークは6時45分。この時間に36.8%の小学生が食事をしている。25年前は7時15分がピークで、30分早まった。
農林中央金庫の調べでは、朝ごはんは9割近い小学生が「毎日食べている」。ただ、和朝食の典型の米飯にみそ汁、おかずの組み合わせは減りつつある。2019年3月までの4年間と、23年3月までの4年間の朝食メニューを比較した民間調査では、ごはんや漬物、汁物、野菜類が減り、パン、ヨーグルト、卵、デザートが増えた。小学生の約3分の1がほとんど毎日、パンを食べているという調査もある。
パン食が増えている理由は、調理時間を短縮するためとも指摘される。日本の子育て世代の働き方の変化が、子供ども朝の風景に影響を与えている。
<午前8時45分 授業スタート>30分前には登校
学研などの調べでは、小学校では8時45分ごろに授業が始まる。登校は8時台前半が多く、8割の子が午前8時15分に学校内での活動を開始。25年前は8割を超えるのは午前8時半で、15分前倒しになった。
登校が早まっているのは特に低学年が中心で、親の出勤に合わせるためとされる。学校側の対応はさまざまで、校庭を開放したり、スタッフを確保して早朝から受け入れ態勢を整えたりする例もある。国民生活時間調査では、午前7時半に1割、7時45分に3割の子どもが何らかの勉強をしている。早めに登校した子が自習などに取り組んでいるとみられる。
「小学校学習指導要領」で定められた1コマの授業時間は原則45分。小学校6年間で学ぶ授業は国語が最も多く1461コマ。続いて算数、体育、理科、社会の順に授業が多い。低学年は理科と社会が混じった「生活」を学ぶ。子どもたちが自分で問いを立て、調べる「総合的な学習の時間」や、生命を大切にする心や他人を思いやる心などを育む「道徳」もある。
文部科学省による2003年の国際比較では、小学5年生時点の授業時間が最も多いのはインド。イタリアや米国、香港が続き、日本は少ないグループに入っていた。ただその後、日本は国際競争力強化の観点などから見直しが進み、授業時間数が増えている。
深刻な課題もある。文科省の発表では、23年度に不登校だった小学生は過去最多の13万370人。11年連続で増え、10年前の5.3倍になった。いじめや周辺環境の問題、コロナ禍での生活リズムの乱れ、学校外での学びの容認などさまざまな要因が指摘されている。不登校になった後、民間のフリースクールに通う子もいて、自治体によっては支援も行われている。
<午後0時15分 給食>月4688円、無料の地域も
通常、午前中に4コマの授業を終えると給食だ。午後0時15分ごろが多い。小学校の99%で給食が出されている。準備は子どもが当番制で担当。各教室で教師と一緒に食べる。学校全体で同じメニューなのが普通で、弁当やカフェテリア方式は少ない。アレルギー対応が必要な場合は特定の食品を盛りつけず、家庭から持ち込んだ代替食などを食べることも認められるようになってきた。
給食費は2023年時点で1カ月平均4688円、1食あたり230円程度。無償化する自治体も増えている。人気メニューは、カレーライス、揚げパン、冷凍ミカンなど。地元や姉妹都市、海外などの特産品や名物料理を給食メニューに盛り込み、その土地の風土への理解を深める「食育」も盛んになっている。
22年の調査では、9割 以上の小学校で昼食後に15分ほどの掃除の時間がある。児童らが週4日以上学校内を清掃しているケースは85.7%。近年は週5日掃除をする学校が減り、週3~4日に絞る学校も増えている。
児童による校内の掃除は日本的な「文化」として知られていて、エジプトやシンガポール、英国の一部地域などで同様の取り組みがある。
<午後3時台 下校>早めに帰ってテレビかゲーム
下校のピークは午後3時15分から午後3時半。校内に残る子が2割を切るのは1995年に比べ15分早くなり午後4時。学校に残って遊んだりせず、すぐに帰宅する子どもたちの姿が浮かび上がる。
学研の調査によると、子どもたちの放課後の時間の過ごし方で最も多いのは、テレビ視聴で平均81分。次にゲーム56分。インターネット55分。塾や習い事は51分で、勉強、友達との会話、外遊びはそれぞれ45分、マンガを含めた読書は31分にとどまっている。
子どものゲーム依存に悩む保護者も多い。経済協力開発機構(OECD)の「生徒の学習到達度調査」(2018年)では、1人用ゲームで遊ぶ頻度が「毎日」「ほぼ毎日」と答えた生徒はOECD平均が26.7%なのに対し、日本は47.7%と倍近い。多人数のオンラインゲームはOECD平均とほぼ同じ29.6%だ。
〈午後7時30分 夕食〉遅めの晩ごはん、その前に勉強
習い事の一番人気は水泳。家庭学習や塾など学校以外での学習が2割を超える時間帯は、午後4時~6時15分。1995年時点では午後5時~6時15分、午後8時~8時半に分かれていた。現在は帰宅後の学習時間帯は早まり、夕食後に勉強する子は減っている。ただ、中学受験が過熱している都市では状況が異なり、東京では午後9時半ごろに塾から帰宅する小学生の姿も珍しくない。
夕食の時間は遅めになっている。2020年は、2割以上の子が夕ごはんを食べている時間帯は午後7時~午後7時45分。25年前は午後6時半~午後7時半だった。
22年の調査では、父親と一緒に夕食を食べる割合は約6割。16年の前回調査より10ポイント以上増えた。新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が増え、家族が一緒に食事ができる機会が多くなっているようだ。
<午後9時36分 就寝>4人中3人 午後10時にはオヤスミ
学研の調査では小学生の平均就寝時間は午後9時36分。1年生は午後9時17分だが、小学6年生は40分以上遅い午後9時59分になる。国民生活時間調査では、午後9時半までに小学生の約半数、午後10時までには4人中3人が睡眠している。1995年は午後10時睡眠の小学生は6割だった。朝の活動開始が早いため、夜も早めに寝る傾向が強まっている。
厚生労働省のガイドラインでは、小学生の理想的な睡眠時間は9~12時間とされる。東京大学などの研究チームの調査では小学6年生の平均睡眠時間は7.9時間。勉強や習い事、早起きの必要に迫られ、十分な睡眠時間を取れていないのが実態のようだ。
【参考資料】
- 社会生活基本調査結果(総務省統計局)
- 国民生活時間調査(NHK放送文化研究所)
- 小学生白書Web版(学研教育総合研究所 )
- ベネッセ教育情報(ベネッセ)
- 小学生Web白書(2023年、学研教育総合研究所)
- 知るギャラリー(2023年、インテージ)
- Z世代が選ぶ!!「好きな給食メニューTOP10」(2024年、バイドゥ)
- こどもの食生活の意識と実態調査(2022年、農林中央金庫)
- 生徒の学習到達度調査(2018年、OECD)
- 子どもが喜ぶ朝食メニュー( 2022年、小学館Hug Kum)
- 教員からみた学校掃除に関する実態調査(2019年度、ダスキン)
- 学校の授業時間に関する国際比較調査(2002年度、文部科学省委託研究)
- 「小学校の時間割」を知りたい! (2024年、学研)
※構成:ニッポンドットコム編集部 松本創一
バナー写真:午前6時には日本の3割の小学生が起床。子どもたちの早起き傾向が明らかになっている(PIXTA)