小寒
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小寒は1月6日ごろに当たる。小寒から立春までの約1カ月を「寒の内」という。寒中水泳などの耐寒行事が行われ、酒やみそ、しょうゆなど発酵食品の仕込みが始まる。
スイセン
雪の中でも花を咲かせるほど強いことから「雪中花」とも呼ばれる。別名は「金盞花(きんせんか)」。金盞は黄金の杯を意味し、花の中央にある黄色の部分を杯に見立てた名前だが、キク科のキンセンカとは別物。スペインや北アフリカなど地中海沿岸が原産とされ、シルクロードを通って日本に渡来したと言われる説と、国内の自生地がいずれも海岸近くに集中しているため、球根が海流に乗ってきたのではないかとの説がある。室町時代の書物に登場し、安土桃山時代には、格調高い花として愛でられた。花期が長く、遅いものは4月まで咲く。
人日(じんじつ)、七草がゆ (1月7日)
1月7日は五節句の一つ「人日」。無病息災を願って七草がゆを食べる。春の七草は、セリ、ナズナ、ゴギョウ(ハハコグサ)、ハコベラ(ハコベ)、ホトケノザ、スズシロ(ダイコン)、スズナ(カブ)。人日が近づくと、店頭にはパック入りの七草が並ぶ。七草がゆは、年末年始の暴飲暴食で疲れた胃腸を整えてくれる。
鏡開き(1月11日)
年神様に供えた鏡餅を木づちなどで叩いて細かくし、無病息災を祈って食べる。神様が宿る鏡餅を刃物で切るのは罰当たりとされ、「割る」「切る」は切腹を連想させることから、縁起のいい表現の「開く」を使うようになった。細かくした餅を揚げて「おかき」にしたり、雑煮や汁粉にしたりして食べる。鏡餅を食べると生命力を授かると考えられていた。
十日(とおか)えびす(1月9日から3日間)
大漁、商売繁盛の神として有名な七福神の一人・恵比寿様を祭る神社や寺院の行事。毎年1月9日から3日間行われる。「十日えびす」では神社や寺に参拝して、枝の先に縁起物を飾った福ザサや熊手などを手に入れる。
日本三大えびす神社は、西宮神社(兵庫県)、今宮戎(えびす)神社(大阪府)、京都ゑびす神社と言われている。中でも西宮神社は、十日えびすの1月10日午前6時の開門と同時に行われる「福男選び」で知られる。本殿までの参道230メートルを駆け抜けた参拝者のうち、1~3番目までに到着した人がその年の「福男」に認定される。
とんど焼き、どんと焼き(1月7日~15日、地域によって異なる)
松飾りや門松、しめ縄などの正月飾りや書き初めなどを焼いて無病息災を祈る行事。地域によって、とんど焼き、どんと焼きと呼ぶ。神様を天へ送るために燃やす火や煙に当たることで、1年間健康で過ごせるという言い伝えがある。
カブ
春の七草の一つスズナは、カブの古名で、根の形が鈴に似ていることに由来する。「日本書紀」にも記録があるほど、歴史のある野菜で、各地に個性的な在来種がある。京都の名物、千枚漬けの原料となる聖護院カブは、直径が20センチにもなるジャンボサイズ。葉にはβカロテンやカルシウム、鉄分などが多く、根にはビタミンCやカリウムが豊富で、気温が下がるほど、甘みが増す。柔らかくて煮えやすいので、鍋料理、煮物やかぶら蒸し、炒めもの、温野菜サラダなどで楽しめる。
シュンギク
鍋料理の定番のシュンギク。関西では「菊菜(きくな)」とも呼ばれ、独特の香りと苦みが料理を引き立てる。βカロテンが豊富で美肌効果や風邪予防が期待できる。
キンカン
皮ごと食べられる一口サイズのミカン。金色の蜜柑(みかん)が名前の由来。全国の収穫量の約7割を宮崎県産が占め、日本一を誇る。皮にビタミンCが豊富なので、丸ごと砂糖漬けにしてせき止めにしたり、甘露煮にしたりする。完熟したものは丸ごと生で食べても甘酸っぱくておいしい。
アンコウ
深海魚のアンコウは冬の味覚の代表格。「アンコウの七つ道具」と呼ばれる部位は①ひれ②皮③えら④肝⑤胃袋⑥卵巣⑦身。尾ひれやほお、あごの身も食べられることから「捨てるところがない」と言われる。鍋料理が定番で、濃厚な肝料理も人気が高い。
監修:井上象英 (INOUE Shōei)、暦作家・暦法研究家・神道教師・東北福祉大学特任講師。『神宮館高島暦』の主筆を長年務め、現在は、講演や執筆活動を行う。
バナー写真=飛来した白鳥 (PIXTA)
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