
禅の言葉5 夏炉冬扇
文化 暮らし
禅語とは、短い一句の中に禅の心や悟りの境地を込めた言葉。難解な禅の教えを理解するための手助けになる。ブラジル人漫画家が、禅語の意味を紙芝居のように仕立てた。第5回は、「夏炉冬扇」。
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【夏炉冬扇(かろとうせん)】
夏の囲炉裏(いろり)と冬の団扇(うちわ)。無用なものの例えだが、その時には必要のないものでも必ず役に立つときがくる。人間も同じで、辛抱して活躍できるタイミングを待つことが大切だ。自分は役立たずだと腐ったりせず、出番のない時も与えられた仕事をきちんとやっていけば、必要とされる機会が訪れる。
登場人物
典子:わがままな中学生
石田:文化祭のクラス演劇で主役を演じるクラスメート
父:パン屋職人
学級委員「文化祭のクラス演劇オーディション、マッチ売りの少女役ですが……」
学級委員「典子もうまかったけど、ちょーっと元気良すぎたかな」
クラスメート「気合が入ったマッチ売りの少女だったもんね……」
学級委員「それに比べて、石田さんはかれんで、はかなげで……」
クラスメート「ねー! 私、もらい泣きしちゃった」
典子「薄情者……」
典子「大役、お疲れさま」
石田「ありがと! 典子も頑張ってね。きっとまたチャンスがあるよ」
おばさん「お宅がうるさ過ぎますよ。近所迷惑です!」
典子の父「申し訳ございません。娘に言い聞かせますので…」
典子の父「典子、いいところに帰ってきたな。店の呼び込み、頼む。バイトの子が風邪でね」
典子「げっ! 私ひとりで⁉」
典子「やったことないってば」
典子の父「毎日見てるだろ? じゃ、7時まで任せたよ」
典子「お、おいしいパンはいかがですかー! お安くなってまーす!」
おじいさん「おいしそうだね、これにしようか」
典子「ありがとうございます!」
典子「今日もやりますパン屋のセール。安くておいしい、フワッフワ〜!」
大学生「これ、下さい」
主婦「私も一つ」
典子の父「売り切れじゃないか。明日も頼むよ」
典子「おう、まかしときー!」
おわり
漫画:モクタン・アンジェロ