ラジオ体操
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ラジオ体操第一、第二、みんなの体操とバラエティー豊か
ラジオ体操は、アメリカの生命保険会社が1925年、健康増進を目的に放送したのが最初だった。日本では、これを参考に28年から放送され、独自の進化を遂げてきた。中止されていた時期もあるが、現在にいたるまで約90年間続いている。ロングセラーの秘訣(ひけつ)はその完成度と専門家は言う。
ラジオ体操第一と第二は、変更を加えられつつも広く一般に浸透している。それぞれ時間にして3分15秒程度。短い時間にまとめてあるが、13種類ものエクササイズで構成され、有酸素運動、筋トレ、ストレッチ、バランス運動と約400カ所の全身の筋肉をくまなく使い、体幹(たいかん)も鍛(きた)えられる。
ラジオ体操第一(かんぽ生命)
ラジオ体操第二(かんぽ生命)
ラジオ体操の効果をさらにアップした「超・ラジオ体操」を紹介している近畿大学生物理工学部准教授・谷本道哉さんは「ラジオ体操には、動きの悪くなりがちな背骨まわり、手足のつけ根の肩甲骨・股関節を中心に、全身を大きく動かして、『動きの悪くなった部分の調子を改善させる効果』があり、 いつでもどこでもできる」と評価する。
NHKラジオでは基本的に月曜から土曜に1日4回、日曜は朝1回。NHKテレビでは、1日1~2回放送される。海外居住者は、NHKワールド・ラジオ日本で、聞くことができる。
TVでは、年齢・性別・障がいの有無に関わりなく、一般公募で制定され椅子に座ったままでもできる「みんなの体操」も1日1~2回実施され、画面を見ながらできるのが人気だ。
みんなの体操(ラジオ体操連盟)
地域に支えられて続くラジオ体操
ラジオ体操と言えば、夏休みに保護者の有志で構成される子ども会や自治会が、ラジオ体操の会を主催する行事を想像する。自宅近くの公園や校庭に朝6時半に集まり、ラジオ放送に合わせてみんなで体操をする。子どもたちは事前に配布されたカードを出席スタンプで埋めると、最終日にお菓子や文房具などの参加賞がもらえる。
長らくその風景は、夏の風物詩となってきたが、近年は少子化や子ども会の衰退などの影響、音楽の騒音問題などもあり、実施しない地域も増えている。2014年のベネッセのアンケートによると、夏のラジオ体操に参加している子供たちは約60%だ。
一方、公園のみでなく、福祉施設や地域でのラジオ体操は、日常的に、高齢者をはじめとする人々の健康維持・促進にかなり功を奏しているようだ。
企業、コンサート、工場などなど、それぞれの楽しみ方
シンガー・ソングライター、グループデュオ「ゆず」は、ライブ前に会場の観客、スタッフと一緒にラジオ体操を行う。ファンとの一体感を持ちたいと生まれたのが「ゆず」のライブ&ラジオ体操。(ゆずラジオ体操第一実演【YouTube】)
2011年3月の東日本大震災後には、宮城県石巻で、地元の言葉で行う「おらほ(私の方)のラジオ体操」が始まった。誰もが知っていて気軽に参加できるラジオ体操を「お国言葉」で一緒に行い、CDも発売され、一部は震災地の復興義援金にあてられている。他地域の方言ラジオ体操もYouTubeで探すことができる。
ラジオ体操は、海外の日系人社会や日本企業で、地域のコミュニケーションにも一役買っている。特に日本人社会が定着しているハワイ、ブラジル、ペルーには、ラジオ体操愛好家も多い。中南米地域には、青年海外協力隊員と現地職員の作成したスペイン語バージョンのラジオ体操DVDもある。
専門家も太鼓判を押す6分半(第一、第二)の体操。体が硬くなったり、肩こりに悩んだりしたら、やってみる価値はあるかもしれない。しかも、無料だ。
写真協力
ラジオ体操カード Tatsuo Yamashita
バナー写真=来日時、ラジオ体操に参加した中国温家宝元首相(2010年)©時事