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日本の組織犯罪:暴力団勢力は2024年末で過去最少の1万8800人 組員は1万人割れ

社会

衰退が続く日本の暴力団勢力。20年前には4万人以上いた構成員(組員)は2024年末時点で、1万人を割り込んだ。

警察庁がこのほど公表した2024年の「組織犯罪の情勢」報告書によると、全国の暴力団構成員や準構成員らの24年末時点の人数は、前年比1600人減の1万8800人。20年連続で減少し、過去最少を更新した。構成員は同500人減の9900人となり、初めて1万人を割り込んだ。

暴力団構成員・準構成員の推移

暴力団勢力は、2009年までは全国で8万人を超えていたが、その後は急激に数を減らした。組員の高齢化に加え、全国の自治体で一般市民と暴力団との関りを規制する「暴力団排除条例」の制定が広がったこと、暴力団対策法の強化などが主な要因だ。主要団体の勢力は下表の通り。

2024年末の暴力団主要団体の勢力

  • 六代目山口組
    • 構成員:3300(-200)
    • 準構成員:3600(-200)
  • 神戸山口組
    • 構成員:120(-20)
    • 準構成員:200(-60)
  • 絆会
    • 構成員:60(増減なし)
    • 準構成員:80(-30)
  • 池田組
    • 構成員:60(増減なし)
    • 準構成員:90(増減なし)
  • 住吉会
    • 構成員:2100(-100)
    • 準構成員:1100(-200)
  • 稲川会
    • 構成員:1600(-100)
    • 準構成員:1100(-100)

* カッコ内は前年比増減
警察庁のデータをもとに編集部作成

六代目山口組は2015年8月、神戸山口組が分裂し、19年以降は一時、拳銃を使った殺人事件が相次いで発生するなど激しい対立抗争が続いた。現在は神戸山口組、池田組、絆会の3団体との対立が、各府県の公安委員会から「特定抗争指定」されている。しかし、24年の抗争発生は1件にとどまっている。

24年中に警察が検挙した暴力団員と準構成員は8249人(前年比1361人減)。検挙者の内訳をみると、最も多かったのが覚せい剤取締法違反の1707人。以下、詐欺1103人、傷害1071人、窃盗713人、大麻取締法違反464人、暴行389人など。殺人は79人(前年比23人増)だった。

暴力団勢力が衰退傾向にある一方、 SNSなどを利用して実行犯を募集し、特殊詐欺や組織的な強盗・窃盗を繰り返しながら離合集散を繰り返す、「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」と呼ばれる犯罪者グループの活動が目立っている。

トクリュウによるものとみられる主な資金獲得犯罪に関わる2024年の検挙人員は、5203人。犯罪別の内訳は下図の通りで、詐欺が約半数を占めている。

トクリュウの罪種別検挙人員の割合(2024年)

バナー写真:指定暴力団稲川会の二次団体本部事務所を家宅捜索した捜査員ら=2025年3月4日、群馬県太田市(時事)

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