
子どもの7割が「国際協力」推進に肯定的―NPOの2万人調査 : 大人は国内課題優先の考えも
国際・海外 政治・外交 社会
課題が山積し、困窮する日本。若い世代の「国際協力を進めたい」という前向きな意識に応じられるような国づくりが、大人に求められている。
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国際NGOのセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは2025年3月、全国の「15~17歳の子ども」と「18歳以上の大人」を対象とし、国際協力についての意識調査を実施。Webアンケートで2万606人から回答を得た。
国際協力が必要な理由として、全体の約半数が「国際社会の平和や安定のため」を選択した。重点分野は「教育、保健医療など社会サービス」がトップ。「経済的に特に貧しい国、貧困格差が深刻な国」を重点対象と考える人が多かった。
興味深いのは、子どもと大人で回答を分けたところ、意識に差が見られた項目があった点だ。
日本のこれからの国際協力について肯定的な考えの人は、「積極的に進める」「ある程度進める」を合わせると、全体の約半数だった。これを大人に限って見ると、肯定派は48%。対して、子どもは68%が肯定的だった。国際協力の促進を支持する声は、子どものほうが大きい。
また、国連が求める「政府開発援助(ODA)の拠出金額を国民総所得の0.7%にする」国際目標の達成については、全体の38%が肯定的に答えた。ところが回答を大人と子どもに分けて見ると、「そう思う」は大人で35%、子どもで59%と、大きな差が開いた。
昨今は主要な援助国が国際協力に関する方針を転換し、ODA削減の傾向が広がりつつある。一方、現在の日本は国内に多くの社会問題を抱えているのも事実だ。今回の調査結果における大人と子どもの意識の開きは、国内課題を優先すべきと考える大人の多さ、そうした大人が形成する日本社会の余裕のなさが現れたとも受け取れる。
セーブ・ザ・チルドレンは、今後も日本が国際協力を積極的に推進し、最も脆弱性の高い国や地域の子どもたちの権利実現に貢献するよう働きかけていくとしている。
バナー写真 : PIXTA