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死刑容認、いまだ8割超―内閣府調査 : 廃止派は「誤審、取り返しつかない」と懸念

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残酷な刑罰として、20世紀後半から死刑制度を廃止する国が相次いでいる。G7諸国では、日本と米国だけが死刑制度を維持しているが、日本政府が制度存続の拠り所とする、5年に1度の世論調査で8割超が死刑を容認した。

内閣府が2024年秋に全国の18歳以上3000人を対象に実施した「基本的法制度に関する世論調査」で、死刑制度について「廃止すべき」と回答した人は16.5%で、「やむを得ない」は83.1%だった。

調査は5年ごとに実施しており、これまで個別面接聴取だったものを、今回から郵送アンケートに変更したため、単純な比較はできないが、死刑を「やむを得ない」とした人は2004年調査から5回連続で8割超となった。政府はこれまでも「国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えている」ことを制度存続の根拠としてきたが、選択肢が「廃止すべき/存続すべき」ではなく、「廃止すべき/やむを得ない」の二者択一であることで「容認」側に誘導されやすいとの指摘も出ている。

死刑についてあなたの意見は?

死刑制度の廃止を支持した人が挙げた理由(複数回答)としては、「裁判に誤りがあった時、取り返しがつかない」が71.0%に上り、1994年の調査開始以来、最高だった。死刑が確定していた袴田巌さんが再審無罪となったえん罪事案が影響したとみられる。

死刑廃止の理由

容認する理由(複数回答)としては、「被害者感情」を挙げる人が62.2%で過去最多。「命をもって償うべきだ」55.5%が続いた。

死刑制度存置の理由

また、仮釈放のない「終身刑」が導入された場合の死刑制度の存廃についても質問したところ、「廃止するほうがよい」が37.5%、「廃止しないほうがよい」が61.8%だった。

終身刑を導入した場合に死刑制度は?

調査は2024年10月24日から12月1日にかけて全国の18歳以上3000人を対象に郵送法で実施。有効回収率は60.5%だった。

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