
ラーメン店の倒産が過去最多:コスト増も「1000円の壁」に阻まれる
経済・ビジネス 食
全国のラーメン店の倒産件数が2024年に過去最高となった。材料や光熱費、人件費などコストが急上昇する一方、ラーメンの値ごろ感である「1000円の壁」に阻まれ、十分に値上げができなかった。一部の有名店が人気を集める中で、街場の店は苦戦しており、業界は二極分化しつつある。
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東京商工リサーチの調査によると、24年に倒産したラーメン店は57社。調査開始以来、最も多かった前年(23年)の45社を上回り、過去最高となった。調査対象は負債が1000万円以上の法人であり、個人営業の店は含まれていない。商工リサーチの担当者は「個人営業も含めると、破綻したラーメン店はもっと多いのでは」と話す。
倒産原因は「販売不振」が全体の7割を占めた。倒産件数が多い割に、負債総額は23億円と特段と多いわけではなく、「零細な店が破綻したと考えられる」と言う。
全国で猛威を振るったコロナ禍の影響で、20年以降、ラーメン店の客足は遠のいた時期があった。ただ、売り上げが急減した中小企業への給付金や、従業員の雇用を維持するための助成金など政府の支援策もあって、倒産件数はむしろ20~22年の間、減少し続けていた。その後はコロナ禍の終息で客足は戻ってきたものの、急速な物価高に見舞われており、経営が悪化している。
ラーメンはB級グルメの代表格の国民食であり、長い間、価格は1000円を超えられないと言われて来た。この物価高の中で、「特徴のないラーメン店は『1000円の壁』に阻まれ、容易には値上げできないまま、収益が悪化している」と、商工リサーチはみている。半面、予約制を取り、特別感を売り物にした一部の有名店では、2000円台のラーメンを提供し、人気を博している。
倒産した店を地域別にみると、関東(25社)と近畿(13社)で全体の3分の2を占め、新規参入が多く競争の厳しい大都市圏での経営破綻が目立つ。仙台に本拠を置き、6店舗を展開するブロスアップは24年2月、民事再生法を申請し、自主再建を断念した。
バナー写真:PIXTA