
救急出動件数さらに増加:2023年は764万件と過去最多更新
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総務省消防庁の発表によると、2023年の全国の救急出動件数(消防防災ヘリコプターによる件数も含む)は764万987件(対前年比約40万8000件増、5.7%増)、搬送者数は664万3379人(同約42万4000人増、6.8%増)だった。
出動件数は1日平均2万900件で、4秒に1回近くの割合。搬送者数を見ると、日本国民の20人に1人が救急搬送されたことになる。
コロナ禍の2020年には一時的に減ったものの、高齢者の増加などを反映して救急出動件数、搬送者数は一貫して増加傾向にある。
自治体の多くは救急要員の人手不足に頭を悩ませている。三重県松坂市は24年6月に、救急搬送されても入院に至らなかった場合、一人当たり7700円を徴収する制度を開始。同12月には茨城県の22の大病院でも同様の制度が始まった。
救急車出動件数の内訳を事故種別にみると、「急病」が517万4494件(対前年比5.9%増)、「一般負傷」が118万5397件(同7.6%増)、「転院搬送」が55万6367件(同3.5%増)、「交通事故」が39万9577件(同4.5%増)など。23年の傾向としては、運動競技による事故の出動件数が4万1900件と、前年比で17.3%も増加した。
20年以上前の2001年と比較すると、「交通事故」の割合が大きく減少する一方、「急病」が10ポイント以上増加して全体の7割近くに達している。
救急車搬送人員の内訳を年齢別にみると、65歳以上の高齢者が409 万3552人(対前年比6.0%増)、18歳以上65歳未満の「成人」が196万8232人(同5.7%増)、生後28日以上7歳未満の「乳幼児」が33万6047人(同22.6%増)などとなっている。
高齢者の搬送人員全体に占める割合は、2001年には38.5%だったが、23年には61.6%と大幅に増加している。
2023年中、救急車の現場到着所要時間(入電から現場到着までにかかった時間)は、全国平均で10.0分、病院収容所要時間(入電から医師引き継ぎまでにかかった時間)は同45.6分で、前年より若干改善した。しかし、新型コロナ禍前の19年と比較すると、それぞれ1.3分と6.1分より時間がかかっている。
バナー写真:PIXTA