NYタイムズはなぜ「富山」を推したのか? : 東京から新幹線で2時間、混雑を避けて美食と文化を楽しむ
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ニューヨーク・タイムズは富山市を「混雑を避けて文化的な感動と美食を楽しめる」街と評価。
「文化的感動」を象徴するものとして、世界的な建築家・隈研吾氏が設計した「富山市ガラス美術館」を挙げている。富山市は「ガラスの街とやま」を目指したまちづくりの集大成として、2015年に同美術館を整備。国内外の現代ガラス作家の作品を展示する常設展のほか、ユニークな企画展も随時、開催している。建物は、御影石、ガラス、アルミを組み合わせ、表情豊かな立山連峰を彷彿(ほうふつ)とさせる。メタリックな外観とは対照的に内部は富山県産材をふんだんに使い、開放的で温かみある空間だ。ニューヨーク・タイムズは、「木と光がそびえ立つ聖堂だ」と称賛している。
見学だけでは満足できない人には、「富山ガラス工房」がおすすめ。事前説明も含めて1時間ほどで自分だけのオリジナルのグラスや一輪挿しなどを造ることができる体験コースが用意されている。
ニューヨーク・タイムズでは、「美食」として “通” な居酒屋やバーが紹介されているが、富山を代表するグルメといえば、ブリ、ホタルイカなど海の幸。中でも、「富山湾の宝石」と呼ばれる「シロエビ」は流通量も少ないため、現地でこそ味わいたい。殻ごとかき揚げなどにしたものはサクサクと香ばしく、むき身の刺し身や昆布締め(こぶじめ)は、とろりとした独特の舌触りと上品な甘さが魅力。
B級グルメとして人気が高まっているのが、ご当地ラーメン「富山ブラック」。その名の通り、スープが黒々としているのが最大の特徴。店ごとにバリエーションはあるが、太めん、分厚いチャーシューに粗めに小口切りしたネギ、粗びきのコショーなど全体的にワイルドな雰囲気。戦後復興期、富山市中心部の労働者のために、塩分補給ができ、ごはんのおかずにもなるような濃い味付けのラーメンを考案したのが始まりといわれる。
毎年9月1-3日に開催される「おわら風の盆」。そろいの浴衣に深く編み笠をかぶった踊り手が流し歩く光景はどこかミステリアス。農業に携わる人は、春分の日から210日目に当たる9月1日を「風の特異日」として警戒した。台風シーズンの始まりの時期に、風の害を封じるために踊ったので、「風の盆」と呼ばれるようになった。
これから富山への旅を計画すると、丁度、桜の季節だろうか。松川べりの桜並木の下を歩いてもよし、遊覧船に揺られながらの花見も風情がある。桜と残雪の立山連峰の競演も富山ならではの花見絶景だ。
NYタイムズは2005年から毎年、世界で訪れるべき旅行先を公表している。23年は盛岡と福岡、24年は山口が選出された。今年は万博開催の大阪も選ばれた。
バナー写真 : 松川べりの遊覧船(PIXTA)