渡辺恒雄・読売新聞主筆が死去:巨大メディアに30年以上君臨、政界に強い影響力
社会 政治・外交
日本最大手のメディア企業、読売新聞グループのトップに30年以上も君臨した、同グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄氏が12月19日、死去した。98歳。
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政治部での取材を通じて中曽根康弘氏と「盟友関係」を持ち、近年では安倍晋三、岸田文雄両首相の指南役としても知られた。愛称は「ナベツネ」。憲法改正に積極的で、読売新聞は1994年に「憲法改正試案」を紙面で発表。自衛力保持や環境権の新設、憲法裁判所創設などを明記し、憲法論議に一石を投じた。
1926年、東京生まれ。東京大学の学生時代に敗戦を迎え、日本共産党の東大細胞に所属した(47年除名)。50年、読売新聞社に入社し、ワシントン支局長、編集局総務兼政治部長、専務取締役主筆兼論説委員長など歴任。91年に代表取締役社長・主筆に就任した。以降、「新聞社で一番偉いのは主筆だ」と公言して30年以上トップに君臨した。
政治記者としては大野伴睦氏の番記者となり、以降は保守政界と強い繋がりを持った。福田康夫政権時の2007年の自民党と民主党の「大連立」構想を首相に進言したことでも知られる。
渡辺氏のトップ在任中、読売新聞は1994年に発行部数1000万部を突破。日本テレビとその系列局を傘下に持つ巨大メディアグループの「総帥」として、長く権勢を誇った。また、プロ野球・読売ジャイアンツ(巨人)のオーナーを務め、退任後も最高顧問として球界、さらにスポーツ界に深くかかわった。
バナー写真:プロ野球開幕戦の巨人-阪神戦を観戦するため、東京ドームを訪れた(左から)ウィリアム・ハガティ駐日米大使、安倍晋三首相、渡辺恒雄読売新聞グループ本社主筆=2018年03月30日、東京都文京区(時事)