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中国人の対日イメージ大幅悪化:87%が「日本に良くない印象」―日中合同世論調査

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日中共同世論調査の2024年の結果がこのほど発表された。日本に「良くない」印象を持つ中国人は87.7%で、昨年比で24.8ポイントも上昇。05年の調査開始以来2番目となる高さだった。

中国に「良くない」印象を持つ日本人は89.0%(同3.2ポイント減)と若干減った。中国人が日本に持つ印象は、コロナ禍が収束して訪日客数が回復してきたことなどに伴い、22年、23年の調査では2年連続で改善していた。これだけ対日イメージが大きく悪化したのは、12年に日本政府が尖閣諸島を国有化したことを受けた翌13年の調査(前年比28.3ポイント増の92.8%)以来。

「日中関係の発展を阻害する問題」を聞いた設問(複数回答)に、東京電力福島1原発処理水の海洋放出問題を挙げる人が中国側で前年比29.7ポイント増の35.5%と最多で、昨年8月の処理水放出が影響を与えた可能性がある。同じ質問に対する日本側の回答では「領土をめぐる対立」を挙げた人が50.6%と最も高かった。

相手国に対する印象

調査は、日本の民間非営利団体「言論NPO」と中国国際伝播集団が10月から11月にかけ、両国の2500人から回答を得た。

日中関係の重要性についての設問で、中国側で「重要ではない」、「どちらかといえば重要ではない」と回答した人の割合は前年比40.5ポイント増の59.6%で、調査を始めてから最も高くなった。日本側で同様の回答をした人は5.0%で、日中の認識ギャップが際立つ結果となった。

日中関係の重要性について

言論NPOでは「対日感情の悪化にとどまらず、日中関係のあり方や、これまで両国民の高い支持があった日中協力や国民の交流にまで認識の悪化が広がっている。これは対日認識の全面的な変更であり、これまで経験したことがない変化だ」と指摘。この背景として「インターネット空間での加熱した内向きの議論がこの一年間、連日展開され、それが中国国民の認識悪化や後退を加速させていたのではないか」と分析している。

バナー写真:PIXTA

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