日本企業はハリス氏を支持:「トランプ関税」を懸念―商工リサーチ
経済・ビジネス 国際・海外
11月5日に迫った米大統領選。多くの日本企業の間では、ハリス候補(民主)の方がトランプ候補(共和)よりも経営上、好ましいと考えられていることが東京商工リサーチの調査で分かった。公約に掲げる「トランプ関税」への懸念が背景にある。
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アンケート調査は10月1日~8日に行われ、5185社から回答を得た。それによると、「両候補のうち、どちらの候補の当選が経営にプラスか」との質問に対し、カマラ・ハリス氏と回答した企業が43.5%を占め、ドナルド・トランプ氏の15.0%を大きく上回った。「どちらでも影響はない」は41.4%。
産業別では、対象となった10産業全てでハリス氏がトランプ氏を上回った。中でも金融・保険業や卸売業、製造業でハリス氏支持が多かった。商工リサーチは「トランプ氏は輸入品に一律関税を課すことを掲げており、海外との取引が多い大企業や製造業を中心に懸念が高まっている」と分析。トランプ氏の政策への不安がハリス氏支持につながっている。
トランプ氏は選挙公約として、全ての国からの輸入品に10~20%の関税を課すとともに、中国製品については一律60%に引き上げると表明。競争力を失った米製造業を守る保護主義政策だ。
また、トランプ氏が選出された場合、規制緩和などへの期待から一時的に株高も予想される半面、保護主義政策による物価上昇や財政赤字拡大を背景に、長期金利が上昇する可能性もある。金融・保険業の間でも、トランプ氏を警戒する声が多いのは「金融市場の先行きが不透明になり、混乱を避けたいため」と商工リサーチはみている。
一方、次期大統領の政策の注目点としては、「台湾有事を含めた対中関係」「ウクライナ情勢を含む対ロ関係」など地政学リスクへの関心が上位を占める。次いで「通貨・為替」「保護主義」など経済政策への関心が高い。
バナー写真:PIXTA