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世界的人気の一方で、秋田犬の国内新規登録数がピーク時の20分の1以下まで減少

環境・自然・生物 社会

国の天然記念物に指定され、海外でも人気が高い秋田犬。ところが、国内における飼育数はこの50年間で激減している。公益社団法人「秋田犬保存会」が公表した2023年の新規登録数は1832頭。ピーク時(1972年)の20分の1にも満たず、記録が残る71年以降最少となった。

秋田犬は秋田県原産の日本犬の一種。そのルーツは江戸時代初期の1630年代までさかのぼり、マタギ猟(北東北に古来伝わるクマ猟)に使われた犬と土着犬などを交配して生まれたとされる。体高は平均で60センチ台、体重は30~50キロ台で大型犬に分類される。

秋田犬保存会(本部・秋田県大館市)は、明治時代に入り雑種化が進んでいた秋田犬の血統を守る目的で、1927年に設立された。全国各都道府県に支部を持つほか、米国、フランス、ロシア、中国、台湾など海外にも11のクラブがあり、血統書の発行や展覧会の運営などの普及活動を展開。毎年、国内外の新規登録数(犬籍登録数)を集計している。

同会によると、秋田犬は太平洋戦争中、軍部による捕獲命令などで激減し、終戦時には十数頭となり、絶滅の危機にあったという。その後、愛犬家らの努力により繁殖が進み、72年には4万6225頭を数えた。だが、同年をピークに減少に転じ、2011年には2038頭まで落ち込む。その背景には、住宅環境の変化による小型犬需要の高まり、繁殖を手掛けるブリーダーの高齢化や後継者不足などがあるという。

リチャード・ギア主演の映画『HACHI 約束の犬』(2009年公開)のヒットなどで、海外で秋田犬ブームに火がつき、2017年には6671頭まで回復するものの、国内における減少には歯止めがかからず、2023年は1832頭と2011年(1964頭)を下回り、最少記録を更新した。

秋田犬保存会の新規登録数の推移(1971-2023)

国内・海外別の登録数(2005-2023)

秋田犬は、「忠犬ハチ公」でも知られるように飼い主にとても忠実な反面、飼い主以外にはあまりなつかない「ワンオーナードッグ」とされる。途中で飼育を放棄したり、保健所に持ち込まれて殺処分されたりするケースも少なくない。

国内における秋田犬の飼育頭数拡大、殺処分ゼロを目標に掲げ、2018年に設立された一般社団法人「ONE FOR AKITA」(秋田市)では、飼育放棄された秋田犬を保護して新たな里親に譲渡したり、施設で終生飼育したりする財源に充てるため、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」でクラウドファウンディングを実施している(2024年度は10月23日まで)。

詳しくは「ONE FOR AKITAプロジェクト」ホームページを参照
http://www.saveakita.or.jp/ofa/

バナー写真:2023年12月、ハチ公生誕100周年を記念したイベントで、東京・渋谷の街を飼い主と一緒に散歩する秋田犬。そのかわいさに外国人観光客もメロメロ(Kazuki Oishi/Sipa USA via Reuters Connect)

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