防衛予算、ウクライナ情勢受け2年前の1.5倍に:2025年度概算要求も過去最大
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年1兆円以上の増額ペース
日本の防衛費はGDP比1%以内を目安としてきた。岸田文雄政権が初編成した2022年度予算の防衛関係費は、従来方針を踏襲し5.1兆円だったが、23年度当初予算では6.6兆円、24年度はさらに1兆円以上増額し7.7兆円となった。
24年度は、他省庁予算で安全保障に活用できる公共事業費や科学技術研究費も含むと総額8.9兆円。GDPの1.6%に上っている。
ウクライナ侵攻受けGDP比2%へ
日本の防衛費の増額は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受け、北大西洋条約機構(NATO)諸国が相次ぎ国防費を2%にすると表明したことに追随したもの。政府は、インフラ整備などを含む防衛関係予算を27年度にGDP比の2%にする方針を示した。総額は約11兆円に達する見込みだ。
防衛白書などによると、22年度の各国の防衛費・国防費の対GDP比は米国が2.8%、中国1.1%、ロシア3.0%、韓国2.5%、ドイツ1.3%だった。
政府は22年12月、防衛費の大幅な増額や反撃能力の保有などを盛り込んだ新たな安全保障3文書を決定。柱として、敵対する部隊・艦艇の射程外から攻撃する「スタンド・オフ防衛能力」や、早期探知や迎撃機会の重層化などによりミサイル攻撃を未然に防ぐ「統合防空ミサイル防衛能力」、情報収集や戦闘支援型の無人機を用いた「無人アセット防衛能力」などを盛り込んだ。反撃能力は自衛隊の専守防衛の原則を変容させるとの指摘もある。
防衛増税に異論も
財源は、歳出改革などで捻出した上で、不足分は法人、所得、たばこの3税で確保する方針だが、自民党内から増税への異論も出ている。防衛省をめぐっては、民間企業から海自隊員への裏金接待疑惑や、手当の不正受給などの不祥事が明らかになっており、膨張する予算の適正執行に疑問も投げかけられている。
バナー写真:大分県由布市の陸自湯布院駐屯地で披露された「12式地対艦誘導弾」の発射機。12式地対艦誘導弾は能力向上型がスタンド・オフ防衛能力の強化に活用される見込み(共同)