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100~150年おきに繰り返してきた南海トラフ巨大地震

気象・災害 防災 社会

過去の南海トラフ地震を振り返ってみると、時間差で2度に分かれて発震しているケースが何度もある。歴史の教訓に学ぶのであれば、この夏休みに家族と避難経路や連絡手段を再確認し、非常食や防災グッズをアップデートするのが賢明。

2024年8月8日午後4時42分ごろ、日向灘(宮崎県東部沖)を震源とする地震が発生、宮崎県日南市で震度6弱の揺れを観測した。震源の深さ31キロ、地震の規模(マグニチュード)は7.1と推定される。

気象庁が臨時開催した専門家による評価検討会は、南海トラフ地震の想定震源域で、規模の大きな地震が起きる可能性が平常時より高まっているとして、「巨大地震注意」とする地震臨時情報を発表した。

南海トラフ地震は、駿河湾(静岡県)から日向灘沖にかけて、フィリピン海プレートが陸のプレートに沈み込む境界を震源域とし、100~150年間隔で繰り返し発生している大規模地震。直近の南海トラフ地震である昭和東南海地震(1944年)と昭和南海地震(1946年)が発生してから80年が経過しており、今後30年以内に70~80%の確率で発生すると考えられている。政府の中央防災会議が2019年にまとめた最新の被害想定では、死者・行方不明者数は最大約23万1000人で、全壊・焼失建物は約209万4000棟。

日本列島周辺のプレート構造

【南海トラフで過去に発生した大規模地震】

◆684年11月29日 白鳳地震(M8.3)

震源域:足摺岬(高知県土佐清水市)沖~潮岬(和歌山県串本町)沖

被害:山崩れ・河沸き、郡官舎や寺社の倒壊多く、人畜死傷 津波襲来で土佐で船が多数沈没

◆887年8月26日 仁和地震(M8.3)

震源域:足摺岬から御前崎(静岡県御前崎市)沖にかけての領域

被害:京都で諸司官舎や民家の倒壊があり、圧死者多数。津波が沿岸を襲い溺死者多数

◆1096年12月17日 永長東海地震(M8.0~8.5)
◆1099年2月22日 康和南海地震(M8.0~8.3)

震源域:永長地震は潮岬~御前崎、康和地震は足摺岬~潮岬。約2年2カ月の時間差で、東側(東海)と西側(南海)で地震が発生した。

被害:永長地震では東大寺の巨鐘落下、薬師寺回廊転倒、津波が伊勢・駿河を襲った。康和地震では興福寺の大門・回廊が転倒

◆1361年8月3日 正平南海地震(M8.0~8.5)

震源域:足摺岬~御前崎沖にかけての領域

被害:摂津(大阪府北中部~兵庫県南東部)、阿波(徳島県)、土佐(高知県)で甚大な被害。摂津四天王寺の金堂転倒

◆1498年9月20日 明応東海地震(M8.2~8.4)

震源域:潮岬沖から駿河湾にかけての領域

被害:紀伊から房総(千葉県)にかけての海岸と甲斐(山梨県)で地震動が大きく、熊野本宮(和歌山県)の社殿が倒壊。房総まで広範囲に津波が襲い、溺死者多数

◆1605年2月3日 慶長地震(M7.9)

震源域:足摺岬沖~御前崎にかけての領域

被害:震動による被害は少なかったが、犬吠埼(千葉県銚子市)から九州に至る太平洋岸に津波襲来。阿波鞆浦(徳島県海陽町)では波高30メートル

◆1707年10月28日 宝永地震(M8.6)

震源域:遠州灘沖合~高知県の沖合までの広い範囲

被害:家屋倒壊は太平洋岸だけでなく、甲斐(山梨県)西部、信濃(長野県)、美濃(岐阜)、富山など広範囲に及ぶ。駿河中央部、甲斐西部、信濃~九州までの広範囲で家屋倒壊。伊豆半島から九州に至る太平洋沿岸で津波被害

特記事項 : 宝永地震4年前の1703年12月31日にM8.1程度の元禄地震。宝永地震の1.5カ月後の12月16日に富士山噴火

◆1854年12月23日 安政東海地震(M8.4)
◆1854年12月24日 安政南海地震(M8.4)

震源域:東海地震は紀伊半島東部沖~駿河湾、南海地震は紀伊半島沖~四国沖。30時間差で、東側、西側の順で発震

被害:最大被害は天竜川河口付近、甲府・松本・福井でも被害、房総~土佐の沿岸に津波

◆1944年12月7日 昭和東南海地震(M7.9)
◆1946年12月21日 昭和南海地震(M8.0)

震源域:東南海地震は紀伊半島東部沖~遠州灘、南海地震は紀伊半島西部~四国太平洋沿岸。2年差で東側、西側の順で発震

被害:東南海地震は静岡、愛知、岐阜、三重で甚大な被害。南海地震では、房総半島から九州までの広い範囲に津波襲来

バナー写真 : 南海トラフと想定震源域(共同)

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