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コメ高騰、11年ぶりの水準 昨年の猛暑影響

経済・ビジネス 社会

昨年の猛暑による不作でコメの流通量が不足し、価格が高騰している。

2023年産米の価格が高騰している。昨年の猛暑によって品質が下がり、流通量が減少しているためだ。農林水産省が発表するコメ価格の代表的指標は、約11年ぶりの高値水準となっている。

2023年産米の相対取引価格

コメは生産農家から農業協同組合(JA)によって集められ、卸売業者を通じてスーパーやレストランなどへ流通していくのが一般的だ。JAが卸売業者に販売する際の「相対取引価格」はコメの価格を示す代表的指標となっており、農水省が毎月発表している。

23年産米の6月の相対取引価格(速報値)は、玄米60キロ当たり前年同月比約14%増の1万5865円で、約11年ぶりの高値水準になった。24年6月末時点の民間在庫量(同)は、前年から約2割減の156万トンで、1999年の統計開始以降で過去最少となった。

民間のコメ在庫量

人口減少などの影響により、コメの需要は毎年10 万トンずつ減少してきたが、24年6月までの過去1年間の需要実績(同)は、前年比11万トン増の702万トンで、10年ぶりに増加に転じた。農水省は、訪日外国人による消費拡大や新型コロナ禍からの需要回復が寄与したとみている。

農水省は、急激に増える訪日外国人によるコメ需要への影響を試算した。訪日客1食当たりの消費量を78グラム、1日2食コメを食べると仮定した場合、訪日客のコメ需要量は1万9000トン(22年7月~23年6月)から、5万1000トン(23年7月~24年6月)へ3万1000トン増えたと推計された。

農水省の担当者は、「需要を満たす在庫はあり、需給は逼迫(ひっぱく)していない。7月からは24年産の早場米の収穫が始まっており、コメ不足という事態にはならない」と話している。

バナー写真:コメが品薄となり、一部のスーパーなどは購入の制限を始めた。購入制限を知らせる張り紙をする店員=2024年7月25日、東京都練馬区のスーパー「アキダイ関町本店」(時事)

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