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美食家は霜降りより赤身がお好き?―dancyu調査 : ブランド認知度は松阪牛99.9%

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食通・美食家の雑誌として知られるdancyuの読者調査で、霜降りの牛肉よりも赤身肉への支持が大きく上回った。とろけるような霜降り肉はおいしい日本の食材の代表として世界からも注目されるが、これからは赤身の時代がやってくるのか?

食の総合メディア「dancyu」(プレジデント社)が、読者組織を対象に実施した牛肉に関するし好調査で、霜降り肉よりも赤身肉を支持する人が約3倍に達した。調査は4月末から5月初旬にかけてウェブ経由で実施、931人から回答があった。

「和牛」の98%を占める黒毛和牛は、細かく網目状に入った脂(サシ)が特徴。サシの多い霜降りは高級牛肉の代名詞とされ、日本独自の食材として世界からも注目され、インバウンドにも人気だ。

「dancyu」の読者層は高級・本格し好の美食家が多いと考えられているが、その人たちが高級な霜降りよりも、サシの少ない赤身肉を選好しているのが興味深い。

「赤身好き」「どちらも好き」と回答した人に、「以前から赤身が好きだったか」を聞いたところ、「以前は霜降りが好きだったが、だんだん赤身好きになった」という回答が半数以上を占めたといい、霜降りから赤身へのし好の変化が起きつつあるようだ。

赤身と霜降りどちらが好き?

牛肉を購入する際に重視する点(複数回答)は、「価格」67.0%、「国産か輸入か」63.5%の2項目が6割を超え、「赤身の多さ」36.4%、「赤身肉の色合い」36.3%が続いた。品種やブランドよりも、「赤身」を重視していることが分かる。

牛肉を購入する際に重視する点

牛肉ブランドで、認知が最も高かったのは松阪牛。「食べたことがある」93.6%に、「食べたことはないが知っている」人も含めると認知度は99.9%。これに次ぐ、米沢牛、神戸牛(神戸ビーフ)、近江牛も、喫食経験・認知度ともに群を抜いており、ブランド力を見せつけた格好だ。

一方、飼育頭数3000頭、和牛全体に占める割合が0.15%ほどに過ぎない「いわて短角牛」の認知度が74.5%に達した。いわて短角牛は放牧主体で飼育し、赤身主体の肉質で知られる。同じく黒毛和牛ではない「くまもとあか牛」「土佐あかうし」も認知度6割を超えた。食への関心が高い層を対象とした調査ならではの結果だが、霜降り一辺倒だった和牛市場に変化の兆しか?

ブランド牛の認知度

バナー写真 : 放牧中のいわて短角牛(岩手県観光協会提供)

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