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「子どもを海に連れてって!」 : タイパ重視の親世代が、家から遠い海を敬遠?―日本財団調査

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7月15日の「海の日」を前に、日本財団が「海と日本人」に関する意識調査結果を発表。「海に行きたい!」という子どもの希望に親が応えられていない現状が明らかになった。

日本財団は2017年より2年ごとに、「海と日本人」に関する意識調査を行っている。4回目となる今年は初めて、小学生親子調査も併せて実施した。

「海と日本人」に関する意識調査は全国の15~69歳が対象で(回収サンプル数1万1600)、小学生親子調査は全国の小学生とその親を対象とした(回収サンプル数2000)。

全世代に「海に行きたいかどうか」を聞いたところ、「行きたい」と答えたのは59%で、2022年比で13ポイント減少。特に20~30代が大きく減少しており、子育て世代の「海離れ」が深刻だ。

海に行きたいか?

海に行かない理由は「家から遠い」が最多で「時間がない」ことも大きい。注目すべきは「海に行くという発想がそもそもない」人が24%に達した。

「発想がない」は19年調査では22項目中14位だったが、今回の調査では35項目中2位に浮上。四方を海に囲まれる島国であるにも関わらず「海離れ」が加速している。

海に行かない理由

日頃の行動や考え方に関する設問では「時間を効率的に使いたいと意識している」と答えた人が70%。余暇の過ごし方は「家で動画視聴をする」が1位で、「海に行く」は35項目中22位、全体のわずか7%だった。海が敬遠されるのは、「海に行く」という発想がないのに加え、家から遠くて時間がかかり、効率が悪いからなのだろう。

余暇の過ごし方

小学生への質問では、75%が「海に行きたい」と希望。「夏休みにやりたいこと」としても、「海に行く」は3位にランクインした。

けれども実際に「直近1年間で1日以上海に行った」のは60%にとどまった。「暇があれば家で動画を見て買い物に行きたい」という親が、海に行きたい子どもの希望をかなえていないのかも…。

子どもが海に行けば、海への関心が高まり「海離れ」を食い止められる。海を大事に思い、海洋環境を守ろうとする気持ちの育成につながると期待できる。日本財団の海野光行常務は、「親が子どもを連れて行かれる・行かれないに関わらず自然教室などで海の体験ができるよう、地域と連携した活動を進めている」と語った。

バナー写真 : PIXTA

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