組織犯罪:暴力団勢力は2023年末で過去最少の2万400人、「トクリュウ(匿流)」集団が新たな治安上の脅威に
社会
日本の暴力団勢力は衰退傾向にある一方、SNSなどを通じて離合集散を繰り返し、特殊詐欺などの犯罪に関わる「匿名・流動型犯罪グループ」が新たな治安上の脅威となっている。
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警察庁がこのほど公表した2023年の「組織犯罪の情勢」報告書によると、全国の暴力団構成員や準構成員らの23年末時点の人数は、前年比2000人減の2万400人。19年連続で減少し、過去最少を更新した。
暴力団勢力は、2009年までは全国で8万人を超えていたが、その後は急激に数を減らしている。組員の高齢化に加え、全国の自治体で一般市民と暴力団との関わりを規制する「暴力団排除条例」の制定が広がったこと、暴力団対策法の強化などにより、経済面で困窮する構成員の離脱が進んだ。主要団体の勢力は下表の通り。
2023年末の暴力団主要団体の勢力
- 六代目山口組
- 構成員:3500 (-300)
- 準構成員:3800 (-500)
- 神戸山口組
- 構成員:140 (-190)
- 準構成員:260 (-170)
- 絆会
- 構成員:60 (-10)
- 準構成員:110 (-20)
- 池田組
- 構成員:60 (-10)
- 準構成員:90 (-10)
- 住吉会
- 構成員:2200 (-200)
- 準構成員:1300 (-100)
- 稲川会
- 構成員:1700 (-200)
- 準構成員:1200 (0)
* カッコ内は前年比増減
警察庁のデータをもとに編集部作成
23年中に警察が検挙した暴力団員と準構成員は9610人(前年比293人減)で、2年連続で1万人を下回った。検挙者の内訳をみると、最も多かったのが覚せい剤取締法違反の1912人。以下、詐欺1332人、傷害1186人、窃盗889人、大麻取締法違反705人、恐喝460人など。殺人は56人(前年比23人減)だった。
暴力団勢力が衰退傾向にある一方、 警察庁が「準暴力団」と定義し、元暴力団員、元暴走族構成員などによる緩やかな集団の活動が活発化。その中にはSNSなどを利用して実行犯を募集し、特殊詐欺や組織的な強盗・窃盗を繰り返しながら離合集散を繰り返す犯罪者のグループが近年目立っている。
2023年5月に、東京・銀座の腕時計店に仮面をつけて押し入り、約3億円相当の腕時計を奪う強盗事件を起こした少年グループとその黒幕がこれにあたる。警察はこうした集団を「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」と名付け、警戒を強めている。
バナー写真:発砲事件があったJR町田駅付近の現場を捜査する警視庁の警察官=2023年5月26日、東京都町田市(時事)