国内最古の蒸気機関車がラストラン 愛されて101歳
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国内最古の現役の蒸気機関車が牽引(けんいん)する「SL人吉」が2024年3月23日、老朽化のため営業運転を終えた。機関車が101歳を超え、修理などが困難となってきたことから現役を退いた。
SL人吉を運行してきたJR九州によると、同機関車は1922年11月18日に誕生した「8620形58654号機」で、通称「ハチロク」と呼ばれて親しまれた。最初に長崎県の浦上機関区に配備された後、福岡、鹿児島、大分、佐賀、熊本の九州各県で活躍した。
SL人吉の歴史
1922年11月18日
蒸気機関車「8620形58654号機」誕生
1975年3月
役割を終え、保存
1988年8月28日
「SLあそBOY」として運行開始
1989年10月21日
「SLあそBOY」が米コロラド州の「デュランゴ・アンド・シルバートン狭軌鉄道」とSL姉妹提携
2005年8月28日
「SLあそBOY」運行終了
2009年4月25日
「SL人吉」として運行開始
2022年11月18日
機関車誕生100歳のイベント
2024年3月23日
「SL人吉」運行終了
出所:JR九州
誕生から約50 年たった75年3月にいったん引退し、肥薩線の矢岳駅(熊本県)で保存された。88年8月、豊肥線の熊本駅~宮地駅間を運行する「SLあそBOY」として復活した後、2005年8月に再び引退。SL復活を望むファンの声を受けて、09年4月には肥薩線の熊本駅~人吉駅間で、SL人吉として2度目の復活を果たした。20年の豪雨による影響や、コロナ禍などで一時乗客が減少したものの、23年度には3万5805人がSLの旅を楽しんだ。SL人吉の総走行距離は約36万9000キロ、総乗客数は41万4203人、総営業日数は1945日だった。
ラストランは鹿児島線の熊本駅~博多駅間で行われ、多くの人々が黒煙を上げて走る機関車の姿を見送った。SL人吉として復活した09年から、機関車のメンテナンスに当たってきた男性整備士は「わが子のようにいつもかわいがって整備をしていたSLが引退して寂しい。最後まで走ってくれて『ありがとう』『お疲れさまでした』という気持ちが一番強い」と話している。JR九州によると、機関車は熊本県人吉市に無償譲渡されるという。
バナー写真:ラストラン式典での「SL人吉」=2024年3月23日、JR博多駅(JR九州提供)