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2023年の犯罪情勢:刑法犯が2年連続増加 コロナ禍前と近い水準の70万件に

社会

警察庁が公表した2023年の犯罪情勢まとめによると、刑法犯の認知件数が前年比17.0%増の70万3351件で、2年連続の上昇となった。

刑法犯認知件数は2002年の285万件をピークに減少が続いていたが、22年に20年ぶりに増加に転じた。コロナ禍前の2019年と比べると、23年は6.0%少ない水準。街頭犯罪(路上強盗、ひったくり、自転車盗、暴行や傷害・恐喝のうち街頭で行われたものなど)の件数が前年比21.0%も増加しており、警察庁では新型コロナの5類移行に伴う人の流れの活発化が背景にあるとみている。

刑法犯認知件数

殺人、強盗、放火、不同意性交や不同意わいせつ、略取誘拐・人身売買などの「重要犯罪」は1万2372件で、前年より29.8%もの増加となった。殺人は912件、強盗は1361件と、わずかに増加。一方、不同意性交など(2711件)、不同意わいせつ(6096件)は、ともに前年比1000件以上も増加している。昨年7月に刑法の規定見直しがあり、強制性交などの構成要件をあらためて不同意性交などとなったことで、警察庁は「性犯罪の被害申告・相談をしやすい環境整備が、認知件数の増加につながったのでは」と分析している。

重要犯罪の認知件数推移

サイバー攻撃を巡る犯罪では、インターネットバンキングにかかわる不正送金事犯の発生件数が5528件(前年比386.6%増)、被害総額約86億円(同465.7%増)と急増し、いずれも過去最多となった。被害の大部分は個人で、うち40代から60代の被害者が6割を占めた。

虐待の疑いで警察が児童相談所に通告した児童数(18歳未満)は、前年比6.1%増の12万2806人、児童虐待事件の検挙件数は同9.4%増の2385件と、いずれも過去最多となった。

23年10月に警察庁が実施したアンケート調査では、日本の治安が「よいと思う」と回答した人の割合は64.7%で、21年調査より11.2ポイント減少した。

「日本の治安はよいと思いますか」という問いに関する回答

バナー写真:JR山手線内での切りつけ事件で、現場を調べる捜査員=2024年1月4日未明、東京都千代田区(時事)

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