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人手不足でも早期退職者募集41社―東京商工リサーチ : 黒字企業が半数超

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どちらを向いても「人手が足りない」と聞こえてくる昨今だが、2023年に「早期・希望退職者」を募集した上場企業は前年を3社上回る41社となった。

東京商工リサーチの調査で、2023年に「早期・希望退職」を募集した上場企業は前年を3社上回る41社に増えた。しかも半数の21社は黒字企業。矛盾するように見えるが、東京商工リサーチによれば、物価高や円安に対応するための構造改革やコロナ禍で変化した市場ニーズに対応した動きなのだという。

主な上場企業の希望・早期退職募集状況

募集社数が前年を上回ったのは3年ぶり。対象人数は3161人で、前年の5780人からは大幅に減少した。前年にあった1000人以上の大型募集がなく、小規模の募集が多かったためだという。

業種別では、「情報通信」11社が最多。いずれも募集開始の直近通期決算が赤字か減益で、背に腹は代えられなかったということか。次いで、「アパレル関連」「電気機器」「医薬品」が各5社、「サービス」3社など。一方、コロナ禍で大きな打撃を受けた「観光」「運送」での募集はなく、「外食」も1社にとどまった。

早期・希望退職者を募集した上場41社の中で直近通期損益が黒字だったのは21社だったが、そのうち14社が東証プライム上場だった。他方、赤字の20社では東証プライム上場は5社にとどまり、東証スタンダード10社、東証グロース4社、地方上場1社だった。

東京商工リサーチは調査結果を踏まえ、「経済産業省は、リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業で企業のキャリア相談や転職支援の後押しを進めている。業績悪化だけでなく、市場やニーズの変化に対応した募集も広がっている。2024年は、大企業や中堅企業でも募集が増える可能性が出てきた」と総括している。

バナー写真 : PIXTA

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