「春闘」とは何? 日本独特の賃上げ交渉、スタートは1955年
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「春闘」は、労働組合(労組)が賃金引上げなどの待遇改善を各企業の経営者側に求めて団体交渉を行うことで、歴史は1955年までさかのぼる。各企業の労組は毎年春、労組の中央組織である「日本労働組合総連合会(連合)」や産業別組織が調整してまとめた要求の大枠に基づき、具体的な要求を経営側に提出して団体交渉する。
連合のホームページは、多くの日本企業が会計期間を4月1日~翌年3月31日までとしているのに合わせ、労組は直前の2〜3月に次年度の賃上げ、労働条件などについて交渉すると説明。連合は日本の労組にとって「1年で一番大きな闘い」と位置づけ、「春季生活闘争」(略称:春闘)と呼んでいる。
スタートは、1955年に鉄道、炭鉱、電機など8つの産業別組織が共同して、春の同じ時期に同じ要求の交渉をしたのが始まりとされる。労組全体がまとまることで経営側に対する交渉力を強化できるという思惑があった。連合の母体の1つとなった「日本労働組合総評議会(総評)」(1989年の連合発足に伴って解散)の議長を務め、春闘方式を発案、確立させた太田薫は、「暗い夜道を1人で歩くのは不安だ。みんなでお手々つないで進めば安心」と表現した。
春闘で毎年焦点となるのが賃金引上げで、「ベア」と「定昇」に分けられる。ベアは「ベースアップ」の略で、基本給(ベース)の水準を上げる(アップする)ことを意味する。全体の基本給水準を一律にアップさせ、賃金体系そのものの引き上げを図る。企業にとってベアは人件費の増加につながる。一方、定昇は「定期昇給」の略で、労働者の年齢や勤続年数によって基本給が上昇する仕組み。定昇は基本給の全体水準を変えるものではなく、物価上昇の局面において重視されるのがベアだ。
連合は今年の春闘で、ベアを「3%以上」とし、定昇分と合わせて「5%以上」の賃上げを求めている。歴史的な物価高によって実質賃金がマイナスとなっていることから、2023年春闘の「5%程度」よりも表現を強めている。
バナー写真:2023年の春闘で、労使交渉の回答状況をボードに書き込む金属労協の職員=2023年3月15日、東京都中央区[代表撮影](時事)