食品輸出11年連続で過去最高更新 : 中国の水産物禁輸がブレーキに
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福島第1原子力発電所の処理水放出で中国が日本からの水産物輸入を全面的に禁止したことで、農林水産物輸出にブレーキがかかった。コロナ禍収束で世界的に外食需要が回復しているが、人気品目だったホタテは大きな痛手を受けた。
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農林水産省のまとめで、2023年の農林水産物・食品の輸出額は前年比2.9%増の1兆4547億円だった。11年連続で過去最高を更新した。コロナ禍からの経済社会活動の再開で外食需要が回復したことや、円安基調が追い風となり、上半期は前年同期比9.6%増と堅調に推移。しかし、東京電力福島第1原子力発電所の処理水放出に伴い、中国が8月に日本産水産物の輸入を全面停止したことから、下半期は2.9%のマイナスとなった。
ホタテ貝(生鮮・冷蔵・冷凍)は中国の禁輸が響き前年比24.4%減の688億円に落ち込んだが、品目別のトップは維持した。牛肉は外食需要の回復で台湾・香港向けが増えて11.2%増の578億円。ソース混合調味料は日本食レストランの増加なども寄与し12.4%増の543億円。
国・地域別では、中国が14.6%減の2376億円。ホタテ貝など水産品のほか、ウイスキーや日本酒も落ち込んだ。一方、香港は13.4%増の2365億円と中国にきっ抗する水準まで伸長。米国はブリ、緑茶などが好調で6.4%増の2062億円だった。
政府は2025年に2兆円、30年に5兆円の輸出額とすることを目標に掲げる。最大の輸出先である中国の禁輸による減速を補うには、新たな輸出先の開拓が不可欠だ。
バナー写真:青森県平内町の平内町漁業協同組合(時事)