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救急車出動件数が増加の一途:2022年は全国で722万件と過去最多

社会

高齢化の進行などを背景に、2022年の救急車出動件数は過去最高となった。23年の全国統計はまとまっていないが、各地で「過去最多を更新した」との報道発表が相次いでいる。

総務省消防庁の発表によると、2022年の全国の救急車出動件数は722万9572件(対前年比約103万件増、16.7%増)、搬送者数は621万7283人(同約72万人増、13.2%増)だった。

出動件数は1日平均1万9800件で、5秒に1回以上の割合。搬送者数を見ると、日本国民の20人に1人が救急搬送されたことになる。

コロナ禍の2020年には一時的に減ったものの、高齢者の増加などを反映して救急出動件数、搬送者数は一貫して増加傾向にある。

自治体の多くは救急要員の人手不足に頭を悩ませている。三重県松坂市は24年6月から、救急搬送されても入院に至らなかった場合、一人当たり7700円を徴収する制度をスタートさせる。

救急車の出動件数の推移

救急出動件数の内訳を事故種別にみると、「急病」が488万4630件(対前年比20.5%増)、「一般負傷」が110万1281件(同13.6%増)、「転院搬送」が53万7359件(同3.6%増)、「交通事故」が38万2301件(同3.7%増)など。

2001年の状況と比較すると、「交通事故」の割合が大きく減少する一方、「急病」が10ポイント以上増加して全体の7割近くに達している。

救急出動の事故種別構成比

救急車搬送人員の内訳を年齢別にみると、65歳以上の高齢者が386 万3153人(対前年比13.6 %増)、18歳以上65歳未満の「成人」が186万2388人(同9.1%増)、生後28日以上7歳未満の「乳幼児」が27万4140人(同29.9%増)などとなっている。

高齢者の搬送人員全体に占める割合は、2001年には38.5%だったが、22年には62.1%と大幅に増加している。

救急搬送者の年齢別構成比

2022年中、救急車の現場到着所要時間(入電から現場到着までにかかった時間)は、全国平均で10.3分、病院収容所要時間(入電から医師引き継ぎまでにかかった時間)は同47.2分だった。2001年の数字は現場到着まで6.2分、病院収容まで28.5分で、いずれもより時間がかかる傾向が続いている。

バナー写真:PIXTA

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