クマによる人身被害、今年度は11月末までに193件、212人:うち死亡6人―環境省まとめ
環境・自然・生物 社会
環境省によると、2023年4月から10月までのツキノワグマの出没件数は、09年度以降で最多。ヒグマを含むクマ類の人身被害は11月末までに193件、212人と非常に多かった。
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同省が2024年1月の専門家検討会に示した資料によると、23年4月から10月末の7カ月間の全国のツキノワグマ出没件数は1万9192件。20年(1万8000件)を上回り、過去最多となった。例年は6月をピークにいったん減少し、10月に再び増加する年が多かったが、今年度は9月に早くも上向きに転じ、10月だけで6000件近くの出没件数を記録した。
件数を地方別でみると、東北が約6割(1万1163件)を占め、特に岩手県(5158件)、秋田県(3000件)の2件だけで全体の4割を占めた。東北では岩手、秋田、宮城、山形県で8月以降に出没件数が増加。環境省はこの理由について、「ブナ科の木の実の凶作の影響が考えられる」としている。
クマ類による人身被害は、今年度4月から11月末までに193件発生。被害人数は212人(うち死亡6人)で、月別の統計がある2006年度以降で発生件数は最多となった。近年で100件以上の被害があった2019年度、20年度、23年度の状況を見ると、いずれも10月が被害のピークとなっている。
地域別でみると、今年度は東北が138件と被害が突出。この15年間で最も多かった2017年度(58件)の2倍以上となった。
人身被害の発生場所を見ると、4月から6月の春にかけては森林や農地での発生が8割以上。しかし、9月、10月には全体の約4割が人家周辺で起きていた。特に秋田県ではこの傾向が顕著で、9月から11月の3カ月間で、山林以外の「人の生活圏」で起きた人身被害は40件以上に及んだ。
バナー写真:PIXTA