犯罪白書:22年の刑法犯、20年ぶりに増加に転じる。認知件数60万1331件
社会
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限が緩和されたことで、窃盗などの犯罪件数が増えている。2021年まで19年連続で減少していた刑法犯の認知件数は、22年に増加に転じた。
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法務省が公表した2023年版犯罪白書によると、22年1年間の刑法犯認知件数は前年の56万8104件から5.8%増加し、60万1331件となった。増加に転じたのは2002年以来、20年ぶり。うち窃盗が40万7911件と、全体の7割近くを占めた。
殺人の認知件数は853件(前年比21件減)、強盗は1148件(同10件増)、放火は781件(同32件増)だった。
検挙者の総数は16万9409人。うち初犯者は8万8226人、再犯者は8万1183人だった。
検挙者のうち再犯した人の割合を示す再犯者率は、前年より0.7ポイント下がって47.9%。再犯者率は近年一貫して増え続けていたが、21年から2年連続で低下した。
少年(14歳以上20歳未満)による刑法犯検挙人員は04年以降減少し続けていたが、22年は2万912人(前年比2.5%増)と19年ぶりに増加した。
法務省は今回、非行少年の幼少期の状況を初めて特集し、分析結果を白書の中で公表した。中でも、21年に少年院に入所していた13歳から19歳の男女591人を対象に、幼少期に受けた虐待や家族の精神疾患・依存症、家庭内暴力といった「逆境体験」(ACE :Adverse Childhood Experiences)の有無を12項目に分けて調査した
その結果、「家族から殴る蹴るといった体の暴力を受けた」と約6割が回答し、4割以上が「家族から心が傷つくような言葉を言われ、精神的な暴力を受けた」と答えた。保護観察処分少年への同様の調査と比較した場合、少年院在院者のACE経験はかなり高かった。
バナー写真:路上で男性が刺された現場付近を調べる神奈川県警の捜査員ら=2023年11月2日、横浜市中区(時事)