
365日休むことのない“神管理” 足立美術館が21年連続トップ:米国の日本庭園専門誌選出
文化 美術・アート 旅
米国の専門誌が選ぶ2023年の日本庭園ランキングで、足立美術館(島根県安来市)が1位に選ばれた。同館の1位選出は2003年のランキング開始から21年連続。専任の庭師だけでなく、職員全員が朝早くから清掃に取りかかり、1年365日、1日も休むことなく庭の手入れに取り組む同美術館の姿勢は “神管理” と称えられている。
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米国の日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」は、旅館や個人邸も含む約1000の候補地の中から、世界各国の専門家が選んだ日本庭園のランキング上位50件を毎年発表している。同誌はこのプロジェクトについて、「日本の庭を規模や知名度によらず、純粋にその美と質によって評価する初の試み」と紹介している。
2023年の1位には、21年連続で足立美術館が選出された。同美術館には建物を囲むように「枯山水庭」「苔庭」「白砂青松庭」など5万坪(約16.5万平方メートル)に及ぶ多様な庭園が広がっている。
同美術館の足立隆則館長は21年連続の1位選出について、「庭は繊細な生きものです。そして正直です。手入れを怠ると、すぐにあちこちにほころびが生じ、取り返しがつかなくなってしまいます。“神管理”とは、特別な技術、作業を指すのではありません。全員が心を一つにして取り組む、日々の地道な手作業の結晶に他なりません」とコメントしている。
足立美術館の「枯山水庭」の奥に見える亀鶴山には、横山大観の作品「那智乃瀧」をイメージして開瀑した高さ約15メートルの「亀鶴の滝」が流れる。(足立美術館提供、画像の転載・コピー禁止)
2位には21年連続で宮内庁が管理する桂離宮(京都市)が選ばれた。以下、旧個人邸の山本亭(東京都葛飾区)、料亭旅館の皆美館(松江市)などが続いた。
2023年の日本庭園ランキング トップ10
名称 所在地 | |
---|---|
1 | 足立美術館 島根県安来市 |
2 | 桂離宮 京都市 |
3 | 山本亭(旧個人邸)東京都葛飾区 |
4 | 皆美館(料亭旅館) 島根県松江市 |
5 | 庭園の宿 石亭 広島県廿日市市 |
6 | 松田屋ホテル 山口市 |
7 | 玉堂美術館 東京都青梅市 |
8 | 二条城二の丸庭園 京都 |
9 | 養浩館庭園(旧藩主別邸)福井市 |
10 | 三景園 広島県三原市 |
米誌『数寄屋リビングマガジン / ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』選定
バナー写真 : 赤く染まったモミジが彩りを添える足立美術館の「池庭」(足立美術館提供、画像の転載・コピー禁止)