企業社員の「心の病」10~20代が最多 : コロナ禍の働き方要因、メンタルヘルスの危機
健康・医療 仕事・労働 社会
新型コロナの感染拡大期は人と接することが極端に制限された。当初はストレスだったテレワークやリモート会議も慣れれば便利。新型コロナウイルスの分類が5類に移行したが、コロナ禍前の状態に戻るのが今度は新たなるストレスに…。
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ストレス社会といわれる現代。企業に働く人たちの「心の病」が若い世代を中心に急増していることが公益財団法人日本生産性本部が上場企業の人事担当者を対象に実施した「メンタルヘルスへの取り組みに関する調査」で明らかになった。
調査によると、心の病が最も多い年齢層は、「10~20代」が21年調査時の29.0%を大きく上回る43.9%に急増して過去最高を記録。「30代」26.8%を初めて上った。
「10~20代」は08年以降漸増し、17、19、21年の調査ではほぼ横ばいだったが、今回大きく様相が変わった。これについて日本生産性本部は、調査結果だけでは判断できないとしつつ、「コロナ禍で入社した若手層がテレワーク等で対人関係や仕事のスキルを十分に積み上げることができない中で、『5類』移行に伴う出社回帰の変化が大きなストレスになったとも考えられる」としている。
「自社における心の病が増加傾向」と回答した割合は、2006年の61.5%をピークに減少傾向となり、21年調査では22.9%と最低を記録したが、今回調査では45.0%に跳ね上がった。これと連動するように「横ばい」「減少傾向」の回答がいずれも低下した。日本生産性本部はこの様変わりについて「コロナ禍を発端とする働き方や職場の在り方の変化、それらの変化への順応プロセスによる影響の可能性が考えられる」と分析し、今回の増加傾向の急増が大きな変化に伴う一過性のものなのか、新たなトレンドとして継続していくものなのかを注視していくことが必要だとしている。
調査は2023年7月~9月にかけて2847社に調査票を郵送し、169社から回答を得た。この調査は2002年からおおむね隔年で実施していて今回が11回目。
バナー写真 : PIXTA