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日本人の9割超が「中国の印象良くない」:処理水問題が影響か―日中合同世論調査

政治・外交

日中共同世論調査の2023年の結果がこのほど発表された。中国に「良くない」印象を持つ日本人は92.2%で、昨年比で4.9ポイントも上昇。2005年の調査開始以来2番目となる高さだった。

日本に「良くない」印象を持つ中国人は62.9%(同0.3ポイント増)と横ばいだった。調査期間は今回、東京電力福島第一原発の処理水の放出や、その後の中国による水産物輸入停止などと重なっており、これらの一連の報道が大きく影響して、日本人の対中感情が悪化したとみられる。

相手国に対する印象

調査は、日本の民間非営利団体「言論NPO」と中国国際伝播集団が23年8月から9月にかけ、18歳以上の日本人1000人と、中国人約1500人から回答を得た。

原発処理水の海洋放出について、中国人で「大変心配している」「ある程度心配している」と回答したのは合わせて47.6%。一方、「全く心配していない」「あまり心配していない」との回答も合わせて26.7%と3割近くあった。日本人では、「心配していない」が37.3%、「心配している」が33.2%だった。

「福島第一原発の処理水放出を心配しているか」という設問への回答割合

この処理水問題が今後の日中関係の障害になるかどうかについては、両国の人々の見方は大きく割れた。日本人の36.7%が「日中関係の発展を妨げる」と回答。これは尖閣諸島問題など領土をめぐる対立(43.6%)に次いで2番目に多かった。一方、中国人では、処理水問題を挙げたのは5.8%に過ぎなかった。言論NPOは「処理水への反発は中国では落ち着いており、日本の反中感情だけを悪化させる事態になっている」と分析する。

「日中関係の発展を妨げるものは」という設問への回答=抜粋=

「自国の将来を考える上で世界の中で最も重要な国は」との設問では、日本人の53.5%が「米国」と回答。「中国」は二番手だが5.7%という結果だった。中国人では「ロシア」27.0%、「米国」23.0%、「日本」15.0%の順。「ロシア」は昨年調査では48.4%と突出した1位だったが、今回は20ポイント以上減少して米国と同水準になった。日本は昨年5.8%だったが、今回は大きく増加した。

バナー写真:日中平和友好条約の締結45周年を祝う文化芸術イベントで、パンダの着ぐるみ姿で踊る子どもたち=2023年9月19日、東京都板橋区(共同)

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