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鳥島 : 伊豆諸島と小笠原諸島の中間に位置する東京都の無人島

地域 環境・自然・生物 防災

2023年10月9日早朝、気象庁は伊豆諸島と小笠原諸島に津波注意報を発令、その後、千葉、高知、宮崎、鹿児島の各県にも注意報を出した。八丈島で60センチ、三宅島と神津島で50センチなどの津波が観測された(注意報は同日正午に解除)。気象庁によると鳥島近海で地震か火山活動、海底の地滑りなどが発生したとみられるが原因は特定できていないという。鳥島っていったいどんな島?

鳥島は都心から約570キロ、伊豆諸島の八丈島から約300キロ南にある無人島。直径約2.5キロメートル、周囲約6.5キロメートルのほぼ円形の火山島。最高地点は中央火口丘の硫黄山394メートルだが、3000メートル級の海底火山の山頂部が島として水面上に出ているものだ。

鳥島から約370キロ南下したところに小笠原諸島の聟島(むこじま)列島がある。鳥島は歴史的には小笠原付属と定められたことも、八丈島の付属と定められたこともあったが、現在は所属町村はなく、東京都直轄。島全体が天然記念物(天然保護区域)に指定されている。

鳥島

鳥島全景 2020年8月海上保安庁撮影
鳥島全景 2020年8月海上保安庁撮影

主な火山活動

1871年 詳細不明
1902年 8月上旬大噴火し、月末まで継続。島の中央部に大火口形成。島民125人全員が死亡。島の北西岸や南東海中でも噴火発生
1939年 8月18日に1902年生成の大火口の南東端で噴火。噴石丘の成長と溶岩流出は12月末まで続く。住民、海軍気象観測所、全員撤退
1959~65年 断続的な地震活動
2002年 8月8日に付近を航行していた遊漁船によりやや規模の大きい白煙が目撃される。10日未明に別の遊漁船により山頂から連続的に吹き上がる火柱が確認される

鳥島は特別天然記念物のアホウドリの集団繁殖地としても知られる。アホウドリの名は、陸上での動きが緩慢で、容易に捕獲できることに由来する。明治期には、上質な羽毛の採取、食肉の目的で集団入植があり、1902(明治35)年の噴火で島民125人が全滅するまでに少なくとも500万羽のアホウドリが殺されたと考えられている。

その後、再びアホウドリ捕獲のためや、サンゴ採取事業のために入植があったが、1939年の噴火を最後に民間人が居住することはなくなった。第2次世界大戦中は海軍のレーダー基地が置かれ、戦後には気象観測所が設置されたが、火山活動に伴う群発地震のため、1965年に全員撤退し、無人島となっている。

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バナー写真 : PIXTA

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