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“出戻り” 歓迎、受け入れ企業半数以上に : アルムナイ=中途離職者は貴重な人材

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かつて、定年以外の退職者や転職者は、在籍していた企業から ネガティブな印象を持たれることが多かったが、近年は人材不足が深刻化しているためか、むしろ貴重な人材源として注目されつつある。リクルートが実施した「企業の人材マネジメントに関する調査2023」では、「出戻り社員」を受け入れている企業が半数以上あった。

近年、人事領域では「アルムナイ/alumni 採用」に注目が集まっている。アルムナイは 卒業生・同窓生を意味する英語で、そこから転じてビジネスの世界では「企業の退職者・離職者」を指す言葉として使われるようになっている。

リクルートの人材マネジメントに関する調査(従業員規模30人以上の企業の人事担当者2761人の回答を集計)で、現在実施している採用手法を聞いたところ、最も多かったのが「ハローワーク」(51.1%)、次いで「自社採用サイト」(46.3%)だった。「アルムナイネットワークを通じた採用」は12.3%で、まだ少数派といえる。

現在実施している採用手法

その一方で、いったん退職した従業員、いわゆる「出戻り社員」を受け入れているかという質問に対しては「受け入れている」と答えた人が55.5%に達した。

リクルートはこの結果を「アルムナイネットワークを明確に採用手法としては認識していないものの、実質的には半数以上の企業が実施していると言える」として、アルムナイネットワーク採用が今後の有効な採用チャネルになっていく可能性があると結論付けている。

出戻り社員を受け入れている?

この1~2年の人材活用の状況を「人員数」「人材レベル(求める人材要件に合致する人を採用できているか)」の2つの観点から尋ねたところ、「人員数」については「十分に 採用できている」「ある程度採用できている」と答えた割合は、アルムナイ採用を実施している企業が42.9%だったのに対し、実施していない企業は31.6%。

「人材レベル」は、「十分に採用できている」「ある程度採用できている」と答えた割合は、アルムナイ採用実施企業34.5%に対して、実施していない企業は24.6%で、アルムナイネットワークの活用が人材確保に一定の効果を発揮しているようだ。その要因としては、「商流や社風を理解しておりマッチ度が高くなりやすい」「異なる環境で新たなスキルや視点を獲得しており、担える仕事の幅が広がっている」「仕事の進め方や社内の人間関係を理解しているので、出戻る本人も早期に活躍するイメージを持ちやすい」などを挙げている。

バナー写真 : PIXTA

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