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ソウルフード「お好み焼き」: 混ぜ焼きの関西、重ね焼きの広島

文化

B級グルメの代表格「お好み焼き」。一口にお好み焼きと言っても、地域によって具材や焼き方に特徴がある。「関西風」と「広島風」は名前は同じ、見た目もよく似ているけれどまったく別もの。

関西風お好み焼き

関西のソウルフードとも言われる「粉もん」。そのルーツは安土桃山時代にまでさかのぼると言われる。小麦粉を水で溶いてクレープ状に薄く焼き、みそを塗ったり、砂糖やケシの実を入れてクルクルと巻いた「麩の焼き」という菓子で、千利休の茶会の記録にも繰り返し登場する。

時代とともに「麩の焼き」は具材や焼き方にバリエーションが生まれ、その流れの一つがお好み焼きとなったと考えられている。現在のようなお好み焼きのスタイルになったのは昭和の時代。昆布だし文化とも融合して、昆布だしで溶いた小麦粉の生地に材料を全部入れて焼く「混ぜ焼き」が関西風の特徴。卵やすりおろした山芋を加えてフワッとした食感が多い。

調理工数が少ないため、テーブル設置した鉄板で客が自分で焼いて食べることができる店も多い。

生地の中に具材を混ぜ込ん焼くのが関西風(PIXTA)
生地の中に具材を混ぜ込んで焼くのが関西風(PIXTA)

関西風のお好み焼き(PIXTA)
関西風のお好み焼き(PIXTA)

広島風お好み焼き

広島風のお好み焼きは、具材を生地に混ぜない重ね焼きが最大の特徴。薄く焼いた生地の上に、これでもかというほどの山盛りキャベツ、その上に豚バラ肉、エビなどの具材をたっぷりのせて裏返す。生地をフタにして蒸し焼きのように具材に火を通し、さらに炒めた麵(めん)、卵を重ねていく。

原爆を投下され焼野原となった戦後の食糧難の時代、貴重な小麦粉を薄く溶いて焼き、野菜をはさんで食べたのが広島風の始まりと言われる。復興が進むにつれて具材が充実し、現在の姿へと進化したが、今もキャベツが主役級なのは戦後のなごりなのかもしれない。

広島は生地だけを薄く焼くところからスタート(PIXTA)
広島は生地だけを薄く焼くところからスタート(PIXTA)

生地をふたのようにしてキャベツなどの具材を蒸し焼きに(PIXTA)
生地をふたのようにしてキャベツなどの具材を蒸し焼きに(PIXTA)

広島風は麵いりが基本(PIXTA)
広島風は麵いりが基本(PIXTA)

全国のお好み焼き店やソースメーカーなどでつくる一般財団法人お好み焼きアカデミー(広島市)によると、日本全国には1万6000店以上ものお好み焼店があるという。具材やソース、焼き方は地域によって、店によって千差万別。自分好みのお好み焼きを探してみては?

バナー写真 : PIXTA

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