生産額ベース食料自給率、過去最低の58%―穀物高騰、円安が打撃: カロリーベース38%底ばい
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コメを中心とした食生活の洋食化とともに、食料自給率は1990年代後半までじわじわと低下。2000年代に入り一応は下げ止まっているが…政府が掲げる目標を達成する道筋は見えない。
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農林水産省のまとめで2022年度の日本の生産額ベースの自給率は、前年度比5ポイント低下の58%で過去最低を更新した。食物輸入量は前年度並みだったが、国際的な穀物価格高騰や飼料・肥料価格の上昇に円安が加わり、輸入額が膨らんだ。政府は「30年度の生産額ベース自給率75%」を目標として掲げるが、17ポイントもの開きがある。
一方、カロリーベースの自給率は前年度横ばいの38%。21年度に豊作だった小麦や大豆の面積当たりの収穫量が平年並みに戻ったことや、サバなどの漁獲量の減少がマイナス要因となった一方、輸入に頼る油脂類の消費が落ち込んだことが緩和要因となった。過去最低を記録した20年度の37%を底に下げ止まっているものの、「30年度45%」の目標までの道のりは遠い。
「自給率」は、国内生産を厳密にとらえるため、輸入飼料による畜産物の生産分を除いて計算している。「国産率」は飼料自給率を反映せず、国内で育てている畜産物はすべて国産とみなす考え方。自給率と国産率の差は、外国産飼料への依存度を示している。
穀物輸出大国であるカナダ、豪州、米国の自給率はカロリーベースで100%を大きく上回る。価格の高い野菜・果実等の輸出が多いイタリアは生産額ベースの自給率で強みを発揮。日本はカロリー・生産額のいずれでも諸外国と比べて低い水準にとどまっている。
バナー写真 : PIXTA