Japan Data

日本の原子力発電所マップ 2023年版

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1974年11月の運転開始から48年が経過した関西電力・高浜原発1号機が2023年7月に12年ぶりに再稼働した。原発の新規立地や増設が難しい中、既存原発の長期運転時代に突入した。一方、東京電力福島第1原発の敷地内にたまり続けるトリチウムを含む処理水の海洋放出が、夏頃をめどに始まるとされている。

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運転開始から48年以上が経過した国内 “最高齢”の関西電力の高浜原発1号機(福井県高浜町)が2023年7月28日、再稼働した。東日本大震災が発生する前の2011年1月に定期検査で停止して以来、12年ぶりの原子炉起動。美浜3号機(福井県美浜町)に続く2基目の40年超原発の再稼働となった。47年経過の高浜2号機も9月中旬に再稼働予定だ。

今年5月に「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」が成立。東京電力福島第1原発事故後に「原則40年、最長60年」と定められた現行の運転期間ルールを緩和し、安全審査などによる停止期間をカウントしないことで、事実上の「60年超」運転が可能となった。原発の新規増設が難しい中、電力の安定供給とカーボンニュートラル(脱炭素)実現に向け、政府は既存の原発を延命する方向へかじを切った。

東日本大震災の発生前、日本には54基の原発があり、日本で使う電力の30%前後を原子力で賄っていた。事故から12年以上が経過した2023年8月時点で地元の同意を得て再稼働した原発は大飯(関西電力)、高浜(関西電力)、美浜(関西電力)、玄海(九州電力)、川内(九州電力)、伊方(四国電力)の6発電所の11基のみ。西日本エリアに集中しており、いずれも事故を起こした福島第1原発とはタイプが異なる「加圧水型」。

福島第1と同じ「沸騰水型」では、女川(東北電力)、柏崎刈羽(東京電力)、東海第2(日本原子力発電)、島根(中国電力)が新規制基準に合格しているが、いずれも再稼働に至っていない。また、東日本大震災以降に廃炉が決定した原発は21基に上る。

原子力発電所マップ(2023年8月時点)

東日本大震災以降の原発をめぐる主な動き(時系列をさかのぼる形式)

24年8月 島根原発(中国電力)2号機が再稼働予定。同原発は、東日本大震災で爆発事故を起こした福島第1原発と同じ「沸騰水型」
23年9月 運転開始から47年が経過した高浜原発(関西電力)2号機が再稼働予定
23年8月24日 福島第1原発(東京電力)の敷地内にたまる放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出が始まった
23年7月 運転開始から48年が経過した高浜原発1号機が約12年ぶりに再稼働
23年7月 国際原子力機関(IAEA)が福島第1原発の処理水の海洋放出を「国際的な安全基準に整合的」であるとする包括報告書を公表
23年5月 原発の運転期間を「原則40年、最長60年」と定めた安全規制を大きく転換し、電力の安定供給と脱炭素化を目的に、60年超の長期利用を可能とするGX脱炭素電源法が可決成立
22年6月 島根県の丸山達也知事が、島根原発(中国電力)の再稼働を容認
21年6月 運転開始から44年が経過した美浜原発(関西電力)が約10年ぶりに再稼働。福島第1原発事故後、原則40年とされた運転期間を超える原発が再稼働するのは初めて
21年4月 福井県の杉本達治知事が運転開始から40年を超える美浜原発3号機と高浜原発1・2号機の再稼働に同意表明
21年4月 柏崎刈羽原発(東京電力)のテロ対策に不備があった問題で、原子力規制委員会が、同原発内での核燃料の移動を禁じる是正措置命令を正式決定。再稼働の準備は凍結
21年4月 政府が、福島第1原発の処理水を、希釈した上で、海洋放出する方針を決定
21年3月 柏崎刈羽原発で20年3月以降、外部からの侵入を検知する設備が故障し、十分な代替措置が取られていなかったと原子力規制委員会が発表
21年1月 柏崎刈羽原発で20年9月に中央制御室に入室するIDカードが不正使用されていたことが発覚
20年11月 宮城県の村井嘉浩知事が女川原発(東北電力)の再稼働に同意。福島第1と同じ沸騰水型としては初
18年7月 第5次エネルギー基本計画閣議決定 「2030年度に原発による発電比率を20~22%にする」
18年3月、6月 玄海原発(九州電力)3・4号機再稼働
18年3月、5月 大飯原発(関西電力)3・4号機再稼働
16年8月 伊方原発3号機再稼働
16年1、2月 高浜原発3・4号機再稼働
15年8、10月 川内原発(九州電力)1・2号機再稼働(新基準施行後最初の再稼働、原発ゼロ1年11カ月ぶり解消)
14年4月 第4次エネルギー基本計画閣議決定「原発は重要なベースロード電源」と位置付ける一方で、「再生可能エネルギーの導入などで原発依存度は可能な限り低減」
13年9月 大飯原発3・4号機が定期検査入り、再び原発ゼロ
13年7月 自然災害やテロ攻撃に備える原発の新規制基準施行
12年9月 原子力規制委員会発足
12年7月 大飯原発3・4号機が再稼働(原発ゼロ2カ月ぶり解消)
12年6月 原発の運転期間が原則40年までに延長
12年5月 泊原発(北海道電力)3号機が運転停止、42年ぶりに国内の原発稼働ゼロ
11年3月 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故

バナー写真 : 関西電力高浜原発。右側手前から1・2号機。左側手前から3・4号機(時事)

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