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2022年の山岳遭難3015件:前年比14%も増加  死者・行方不明者は327人―警察庁

社会 スポーツ

富士登山など、2023年の夏山シーズンが本番を迎えた。警察庁はこのほど22年の山岳遭難概況を発表。遭難件数は3015件、遭難者総数は3506人と、いずれも統計をとり始めた1961年以降で最多となった。

前年比でみると、遭難件数は380件(14.4%)増、遭難者数は431人(14.0%)増。死者・行方不明者は327人(前年比44人増)、負傷者が1306人(同149人増)だった。遭難者のうち約半数が無事に救出され、3分の1強が負傷の状態で救出、1割弱が死亡か行方不明という経過をたどっている。

遭難件数の大幅増加は、コロナ禍でも徐々に登山を再開する人が増加したことに加え、アウトドア活動が近年注目されて新たに登山・ハイキングを始める人も増えたことが背景にあるとみられる。

山岳遭難発生件数と負傷者数の推移

都道府県別でみると、最も山岳遭難発生が多いのは長野県の284件、次いで東京都205件、北海道192件。特に高尾山や奥多摩のある東京都は、前年比30%も増加した。高い山よりも身近な低山で登山者が増え、遭難件数も増える傾向にある。

遭難者3506人を目的別でみると、登山(ハイキングやスキー登山、沢登りなどを含む)が77.8%。山菜・きのこ取りなどが9.1%。

遭難の原因は道迷いが36.5%と最も多く、次いで転倒(17.2%)、滑落(16.5%)、疲労(8.2%)、病気(8.1%)と続く。

山岳遭難の態様別割合:2022年

遭難者のうち、40歳以上が2747人と全体の78.4%を占め、また60歳以上が1779人と全体の50.7%を占めている。死者・行方不明者では、40歳以上が308人と全体の94.2%を占め、60歳以上が231人と全体の70.6%を占めている。

年齢別の死者・行方不明者割合:2022年

単独登山の遭難者1394人のうち、死者・行方不明者はその14.4%にあたる201人。2人以上の複数登山遭難者の死者・行方不明者の割合6.0%と比較すると、8.4ポイント高くなっている。

バナー写真:PIXTA

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