ウナギのかば焼きはいまだ“高根の花”:供給量年6万トンに回復も価格は横ばい
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東京都中央卸売市場の統計(月報・年報)によると、2023年5月の同市場でのウナギの平均価格は1キロ5553円。22年の年平均価格は4998円で、ここ5年ほどは5000円前後で推移している。09年、10年には2300円前後だったが、その後は大幅に値上がりし、12年には4000円台、19年には5000円台となった。
ウナギは日本の食文化を支える代表的な食材の一つだが、10年から13年にかけて、稚魚のシラスウナギの日本での捕獲量が激減。かつては年20~30トンあったものが10トン以下に落ち込み、環境省は13年2月、ニホンウナギを絶滅危惧種(ⅠB類)に指定した。
日本ではその後、ウナギ養殖者を許可制にして飼育数量を制限、また産卵に向かうウナギの漁獲を抑制するなど、資源保全に向けた動きが進んだ。
絶滅危惧種指定から10年。13年には3万2000トン余りまで落ち込んだ供給量は徐々に回復し、21年には6万トンを超えた。
上のグラフは、日本におけるウナギ供給量の推移とその内訳を示している。現在は漁業による捕獲量はわずか60トンほどで、21年の供給量の3分の2(4万2000トン)が中国や台湾などからの輸入、3分の1(2万トン)が国内養殖によるものだ。
日本は1980年代から大量のウナギを輸入し、2000年のピークには13万3000トンにも達した。それらの多くは中国で養殖されたヨーロッパウナギだったが、資源の減少に伴って中国での養殖は衰退。貿易規制も導入され、以前のような輸入中心の供給増は不可能になっている。
養殖で生産されるウナギは現在、全量が天然で捕獲したシラスウナギを育てたものだ。その生態は依然不明な点が多く、また高値で取引されることもあり、管理が適切に行われなければたちまち資源枯渇の危機に直面する。
ウナギを人工ふ化させ、シラスウナギに成長させる研究も国内で進められているが、また商業化のめどは立っていない。
バナー写真:PIXTA