7月1日に富士山開き:2022年シーズンの登山者16万人、今季はかつてない混雑懸念
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「コロナ明け」で登山者の急増が予想される2023年の富士山。しかし、感染対策などで各山小屋は収容人数を従来の半分程度に減らしている。このため、徹夜で山頂を目指す「弾丸登山」に伴う遭難・事故の増加が懸念されている。
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2023年の富士山登山道開通期間は、山梨県側が7月1日から9月10日、静岡県側が7月10日から9月10日の予定。環境省の調査によると、22年シーズンに8合目を通過した登山者は16万人。21年に比べてほぼ倍増し、コロナ前の19年(23万5000人)の約7割の水準だった。
同省は05年から吉田、須走、御殿場、富士宮の4ルートの各8合目付近に赤外線カウンターを設置して、登山者数を調べている。22年で最も多かったのは吉田ルートの9万4000人。富士宮(4万2000人)、須走(1万3000人)、御殿場(1万2000人)の順となった。
また、登山日に関するデータをみると、最も多かった日は9月3日(土曜日)の5381人。土・日・祝日の休日と平日の登山者数の平均は、休日が3553人、平日が1822人だった。
2022年と19年の富士山の休日および平日の登山者数平均(人)
2022年 | 2019年 | |||
---|---|---|---|---|
平日 | 土日祝日 | 平日 | 土日祝日 | |
吉田ルート | 1,060 | 1,827 | 1,746 | 2,848 |
須走ルート | 149 | 350 | 257 | 496 |
御殿場ルート | 130 | 337 | 160 | 285 |
富士宮ルート | 483 | 1,039 | 636 | 1,294 |
合計 | 1,822 | 3,553 | 2,799 | 4,923 |
環境省調べ
今年は本格的な「コロナ明け」のシーズンとなることから、富士山頂を目指す登山者が大幅に増えると見込まれている。実際に、各山小屋のウェブサイトを見ると「すでに満室の日」「残室少の日」が非常に多く、予約が殺到しているようだ。
このため、地元の自治体や山小屋関係者、警察では、徹夜で山頂を目指す「弾丸登山」が今年は増加するのではないかと懸念を強めている。
下の表は、山梨県側の吉田ルートから頂上を目指す際の、一般的な登山客の日程。高度順応のため、バスで到着した5合目で1時間から2時間休憩し、途中の山小屋で仮眠してから山頂を目指す。
一般的な富士登山の日程(吉田ルート)
1日目 | 午前 | バスなどで富士山5合目着 |
---|---|---|
高度順応のため1~2時間滞在 | ||
歩行2時間~4時間 | ||
午後・夕 | 7合目か8合目の山小屋 | |
夕食後、きちんと仮眠する | ||
2日目 | 0時前後 | 山小屋出発 |
歩行3時間~4時間半 | ||
未明 | 山頂到着 | |
ご来光・山頂滞在 | ||
下山開始:歩行3時間~4時間 | ||
午前中 | 5合目到着 |
「弾丸登山」は夜間に5合目を出発し、睡眠をとらずに山頂を目指す行程。高山病になりやすくなるほか、睡眠不足による疲労で事故の危険性も高まる。弾丸登山は自粛し、十分に余裕を持った日程での登山が求められている。
バナー写真:富士山頂に立つ登山者と奥秩父の山並み(PIXTA)