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ご長寿日本一、男女ともに川崎市麻生区 : 地域間の健康格差くっきり

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女性・男性ともに長寿日本一となった川崎市麻生区。川崎市が2022年に実施した高齢者実態調査で、市内7区の中で麻生区は持ち家率が最も高く、「15分程度なら歩くし、歩ける」と答えた人は88.2%と9割近かった。経済的に豊かで健康意識が高い街。

世界に冠たる長寿大国ニッポン。その中でも、特に長生きなのは女性・男性ともに川崎市麻生区。厚生労働省が2020年の平均寿命を全国の市区町村別に調べた。全国値は女性87.6歳、男性81.5歳だが、川崎市麻生区は女性89.2歳、男性84.0歳だった。

一方、平均寿命が最も短いのは、女性は大阪市西成区の84.9歳、男性も大阪市西成区の 73.2歳だった。川崎市麻生区と大阪府西成区との差は女性4.2年、男性では10.8年だった。

上位と下位の自治体を一覧にすると、地域間に健康格差が存在することが浮かびあがる。川崎市麻生区は小田急線の新百合ヶ丘駅を中心とする東京のベッドタウン。都心にアクセスがよい一方で、農地や山林も多く自然に恵まれた住宅地が広がる。トップ10には他にも大都市圏の郊外エリアがランクしているが、こうした地域は医療へのアクセスがしやすいこともプラスに働いているとみられる。長野県は、「健康長寿世界一」を目標に掲げ、県内の自治体が連携してさまざまな健康プロジェクトを展開してきた成果が表れている。

一方、下位には青森県をはじめとする北日本の自治体が目立つ。かねてから、東北地方は塩分の摂取が多い食習慣が指摘されてきた。さらに、過疎化が進み、大都市圏と比べて公共交通機関による移動がしづらく活動範囲が制限されることや、医療提供体制も十分ではないことが影響しているようだ。女性男性ともに1位の大阪市西成区は日雇い労働者が多い町として知られる。福利厚生制度が十分に提供されず雇用が不安定な非正規労働者にとっては、食事や健康に気を配る余裕を持ちづらい。

女性 : 上位10

都道府県 市町村 平均寿命
神奈川県 川崎市麻生区 89.2
熊本県 益城町 89.0
長野県 高森町 89.0
滋賀県 草津市 89.0
兵庫県 芦屋市 88.9
東京都 世田谷区 88.9
東京都 小金井市 88.9
山梨県 富士河口湖町 88.8
長野県 箕輪町 88.8
長野県 伊那市 88.8

女性上位50位までの都道県別の分布は
長野県8 / 東京都7 / 広島県6 / 熊本県6 / 神奈川県4 / 京都府4 / 岡山県4 / 滋賀県2 / 兵庫県2 / 沖縄県2 / 山梨県1 / 石川県1 / 奈良県1 / 鳥取県1 / 島根県1

男性 : 上位10

都道府県 市町村 平均寿命
神奈川県 川崎市麻生区 84.0
神奈川県 横浜市青葉区 83.9
長野県 宮田村 83.4
愛知県 日進市 83.4
京都府 木津川市 83.3
神奈川県 鎌倉市 83.3
長野県 原村 83.3
神奈川県 横浜市都筑区 83.3
滋賀県 草津市 83.3
長野県 豊丘村 83.3

女性上位50位までの都道県別の分布は
長野県16 / 神奈川県10 / 東京都6 / 滋賀県4 / 京都府4 / 奈良県3 / 大阪府2 / 宮城県1 / 愛知県1 / 兵庫県1 / 広島県1 / 熊本県1

女性 : 下位10

都道府県 市町村 平均寿命
大阪府 大阪市西成区 84.9
青森県 今別町 85.5
青森県 田舎館村 85.5
青森県 大鰐町 85.6
青森県 むつ市 85.6
高知県 三原村 85.6
北海道 別海町 85.8
青森県 風間浦村 85.8
山形県 大蔵村 85.8
青森県 七戸町 85.9

女性下位50位までの都道府県別の分布は
青森県24 / 北海道9 / 大阪府4 / 山形県3 / 福島県2 / 栃木県2 / 茨城県2 / 岩手県1 / 秋田県1 / 静岡県1 / 高知県1

男性 : 下位10

都道府県 市町村 平均寿命
大阪府 大阪市西成区 73.2
大阪府 大阪市浪速区 77.9
大阪府 大阪市生野区 78.0
青森県 東通村 78.1
青森県 六ヶ所村 78.3
青森県 大間町 78.4
青森県 むつ市 78.4
青森県 三戸町 78.4
青森県 風間浦村 78.6
青森県 平内町 78.6

男性下位50位までの都道府県別の分布は
青森県32 / 大阪府9 / 北海道2 / 岩手県2 / 鹿児島県2 / 神奈川県1 / 兵庫県1 / 沖縄県1

バナー写真 : PIXTA

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