
女子もスラックスを選べる時代に : 学校ファッションに変化の波―寒さ対策からジェンダーレス配慮へ
ジェンダー・性 教育 社会
学生時代、制服のスカートの丈の長さやブラウスのリボンの結び方をめぐって先生とバトルを展開した記憶がある人も多いかもしれない。今、中学校、高校の制服にちょっとした変化が起きている。女子もスカートではなくスラックスを選べたり、その日の気分でネクタイとリボンを使い分けたりできるようになっているという。女の子「らしさ」、男の子「らしさ」を強要されない時代に向かっている。
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学生服製造大手の菅公学生服(本社岡山市、以下カンコー学生服)は、同社の学生服の女子スラックス新規採用校が2023年度までに累計3041校となったと発表した。
カンコー学生服が女子スラックスの製造販売をスタートしたのは1996年ごろ。当初は、北海道や長野県など寒冷地の防寒対策や自転車通学に適した服装としてごくまれに採用される程度。その後も20年間にわたって新規採用は数十校レベルにとどまっていたが、19年度に初めて100の大台に乗せてから増勢に弾みがついた。22年度は799校、23年度は832校(中学641、高校173、その他18)となった。
学生服は、かつては男子は詰め襟、女子はセーラー服が定番だったが、ジェンダーレス化の流れやLGBTQなど性的少数者への配慮から、男女共通デザインのブレザーの導入が増えている。また、スカートとスラックス、リボンとネクタイを自由に選べるようにするなど、性別による固定化を排除し、選択の余地を与える学校がここ数年で急速に増えている。
学生服は1着を毎日着続けるため、丈夫な生地、ほつれの生じない高度な縫製技術が求められる。新入学シーズン前の数カ月で採寸からサイズの調整まで短納期でこなすため、大規模な生産設備や下請け先なども含め熟練技能者を確保する必要があり、コスト高でも国内生産に頼らざるをえない。このため、古くから学生服を手掛けてきた岡山県が圧倒的な全国トップシェアを握っている。
岡山県の学生服出荷額シェア
女子
分類 | 出荷額(百万円) | 全国シェア(%) |
---|---|---|
上着・オーバーコート類 | 2,638 | 37.4 |
スカート・ズボン | 2,541 | 45.4 |
男子
分類 | 出荷額(百万円) | 全国シェア(%) |
---|---|---|
上着・オーバーコート類 | 22,714 | 67.5 |
ズボン | 5,300 | 81.6 |
出所 : 2015年工業統計調査
バナー写真 : PIXTA